連載
くら寿司“しょうゆボトルなめ女”問題 「損害賠償請求しないほうがいい」と考える3つの理由:スピン経済の歩き方(7/8 ページ)
「しょうゆボトルをなめる」という迷惑行為が発生した「くら寿司」が、声明文を発表した。果たして、スシローのような巨額賠償請求に踏み切る可能性はあるのか……。
「くら寿司」の売り上げ状況
このような「法廷闘争の逆効果」を身をもって経験した「くら寿司」が、今回の「しょうゆボトルなめ女」を相手に、巨額の賠償請求を行う選択をするだろうか。
くら寿司が6月13日に発表した2024年11月〜2025年4月期の連結決算によれば、期初から4月までの既存店売上高は3%減、客数は5%減っている。原材料の高騰や大阪・関西万博の広告宣伝費などがかさんで、純利益も前年同期比50%減の19億円だった。
こんな経営環境で「しょうゆボトルなめのせいで客足が減ったので損害賠償せよ」という主張が、全面的に認められるのかは未知数だし、判決や控訴のたびに、あの動画が蒸し返されるなどレピュテーション低下も甚だしい。個人情報がさらされ、ネットリンチに遭っている女子高生とその家族を、巨額の賠償請求で追い込んだ場合、彼らがどのような行動を取るかも分からない。まともな株主だったら「いやいや、女子高生のほうは警察に任せて経営に集中してよ」という要望になるのではないか。
さて、いろいろ好き勝手言わせていただいたが、訴訟うんぬんとは別に、今回の「しょうゆボトルなめ女」騒動は、企業危機管理担当者にとって非常に重要な教訓を与えてくれている。
それは「マスコミやネットの感情的な主張に惑わされて判断ミスをしてはいけない」ということだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
かつて「街のにぎわいの中心地」ともいわれたイオンモールでも、近年は「安泰」ではない状況になっている。少子化が進む日本で大型ショッピングセンターが生き残る鍵は――。
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
天下一品の大量閉店が話題になっている。フランチャイジー側の店舗戦略が関係しているとの話もあるが、本当だろうか。天下一品のヘビーユーザーでもある筆者の見解は……。

