ロート製薬「週休3〜4日制」は“休みを増やすため”ではない 意外な狙いとは?
ロート製薬(大阪市)は10月20日、週3日または週4日の勤務を基本とする勤務制度「ビヨンド勤務」を導入すると発表した。一般的な「週休3〜4日制」かと思いきや、休みを増やすことが目的ではないとう。同社に詳細を聞いた。
ロート製薬(大阪市)は10月20日、週3日または週4日の勤務を基本とする勤務制度「ビヨンド勤務」を導入すると発表した。
大企業を中心に導入が増えている、一般的な「週休3〜4日制」かと思いきや、同社の藤原結衣氏(広報・CSV推進部 兼 人事総務部)は「勤務日数を短縮し、休みを増やすことが目的ではありません」と説明する。一体どのような狙いを持つ制度なのか? 注目の制度の詳細を、担当者に聞いた。
担当者「覚悟を持って1年は続けて」 狙いは?
ビヨンド勤務は社員の提案から誕生した。ロート製薬は2024年春から約1年間、所属や職種にかかわらず、社員自らが問いを持ち寄り、より良い社会や組織のあり方を探求する社内プロジェクト「ASK」を実施。ASKには全6テーマが寄せられたが、そのうちの一つがビヨンド勤務だった。
藤原氏によると、ビヨンド勤務を提案したチームのメンバーは、当時入社4〜34年目の5人。いずれもスタートアップ企業での勤務や地域貢献活動などの複業経験者だった。
彼ら・彼女らがヒアリングを重ねる中で明らかになったのが、「成長意欲はあっても、時間や制度の制約により挑戦や学びに踏み出しにくい」という課題だった。「この課題を解決するため、休みを増やすための週休3〜4日制でではなく、成長するための時間や機会を増やす制度としてビヨンド勤務が生まれました」(藤原氏)。提案したチームのメンバーや人事、経営陣、労働組合などが一丸となって検討を重ね、約1年程度をかけて制度化に至ったという。
ビヨンド勤務は複業や学びの機会を与える制度であるため、「原則1年間は覚悟を持って継続することが基本」(藤原氏)とのこと。その後は1年ごとに状況確認しながら更新し、場合によっては週5日勤務へ戻ることは可能だ。
ビヨンド勤務者の人数上限は設けていない。業務への影響や本人のキャリアビジョン、社外での経験や学びを通じて、成長や会社への還元につながるかを重視し、最終的に会社が判断するという。
勤務時間と業務量、給与は勤務日数に応じて5分の3または5分の4に設定・算出する。「ビヨンド勤務は10月に申請、承認された場合翌年の4月から開始するスケジュールです。ビヨンド勤務の審査と並行して組織の検討を進め、業務量のバランスを見ながら、ビヨンド勤務者の部署に新たに人員を補充したり、採用したりなど人事異動を検討します」(藤原氏)
その上で、現場では他メンバーやチーム単位で調整し、業務が滞らないよう運用。担当者が不在の日は、上長と相談のうえ対応する想定だ。福利厚生と評価制度は週5日勤務の社員と同等としている。
2026年4月から運用開始を予定しているビヨンド勤務。現在募集受付中のためエントリー状況は非開示だが、社内からは好意的な反応が多いという。藤原氏は「ビヨンド勤務は、長期的には人財の定着やエンゲージメント向上にも寄与すると考えています。また、社員が社外で得た知見やネットワークを社内に還元することで、組織の創造性・多様性・レジリエンスの向上につながると考えています」としている。
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