IT人材は東京のどこに住んでいる? 首都圏の“知られざるテックエリア”を地図で見る:データでわかる東京格差(2/3 ページ)
首都圏に集中するIT人材の居住傾向を可視化。中野や下北沢、五反田など、意外な“隠れたテックエリア”の分布や、若手エンジニアが選ぶ街の特徴をデータで読み解く。
東京のシリコンバレーはどこだ?
では、首都圏のIT企業はどこに集まっているのでしょうか(図1)。この図は、総務省統計局「令和3年(2021年)経済センサス - 活動調査」をもとに、約500m四方のメッシュごとの IT企業従業者数を円の大きさで示しています。また、全従業者に占めるIT企業従業者の割合が特に高いメッシュ(20%以上)を濃く着色しました。
こうして見ると、IT企業の事業所が都心3区(千代田区、中央区、港区)に広く分布していることがわかります。東京のビジネスの中枢である「大手町・丸の内・有楽町(大丸有)」エリアそのものよりは、皇居を取り囲むエリアと、新橋から品川にかけての帯状のエリアが集積地です。
都心からやや離れた場所にも豊洲と晴海(NTTデータなど)、品川シーサイド(ビッグローブ、日立ソリューションズなど)、二子玉川(楽天など)、武蔵中原〜武蔵小杉〜向河原(富士通、NEC など)などの集積地が見られます。
山手線の西側にもIT企業の多い街が点在しています。その一つが「五反田バレー」です。五反田から大崎にかけてのエリアは昭和以降、目黒川沿いの工業地帯として(そしてそれらの労働者を支える歓楽街として)発展してきましたが、2010年代半ばから、賃料が手ごろで交通の便も良いことから、ITスタートアップの集積地として注目されるようになりました。「経済センサスー活動調査」(2021年)によると、約460事業所、4万人弱のIT企業・IT人材が集積し、創業支援や企業間の交流促進が官民一体で進められています。また、隣の大崎駅周辺では電機メーカーなどの大企業の入居も進んでいます。
渋谷にもまとまったクラスターが見られます。渋谷のIT産業の歴史はかなり古く、1990年代後半にインターキュー(現在のGMOインターネットグループ)、サイバーエージェント、オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)、インフォシークなどが次々に入居、「シブヤ・ビットバレー」として知られるようになりました。
その後、ドットコムバブルの崩壊(2000〜2002年)や六本木ヒルズへの移転ブーム(2003年〜)などによって一時停滞しましたが、近年の大規模再開発により、MIXIやサイバーエージェントといった成長企業が再び集積しています。
隣の恵比寿と合わせると約1000事業所、4万人強(2021年)と、五反田・大崎エリアとほぼ同数の従業者がいますが、事業所あたりの従業員数は半分程度で、より小規模なスタートアップが多く集まっていることがデータから読み取れます。
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