“MATCHA戦争”勃発 世界を席巻する「緑の商戦」の裏側:スピン経済の歩き方(4/8 ページ)
世界で激しい抹茶争奪戦が繰り広げられている中、「抹茶の原産国」をかけた日中の戦いも激化している。日本国内にも進出している「中国産抹茶」に対し、宇治抹茶のような日本ブランドはどう立ち向かっていくべきか。
「中国産抹茶」に日本ブランドはどう立ち向かうべきか
輪島塗などの漆器、工芸品、そして全国の神社仏閣などの木造建築に欠かせない「漆」(うるし)は、その95%が中国産だというのは有名な話だろう。伝統的な着物に使われる錦糸も同様だ。
農林水産省によると、錦糸を精錬する前の「生糸」の輸入量は166トン。それに比べて国内生産量は6トンのみとなっており、「生糸は主に中国等から輸入される」(出典:農林水産省「蚕糸業を巡る事情」2025年10月)と説明している。
つまり、われわれが「日本人らしさ」を感じる「伝統的な和装で神社にお参り」という行動さえ、もはや中国産の力なくしては成立しない厳しい現実があるのだ。
話を戻そう。このような形で日本にまで進出してきた「中国産抹茶」の脅威に対して、宇治抹茶のような日本ブランドはどう向き合うべきか。世界的人気の中で、「MATCHAといえば中国ではなく日本」というポジションを守ることができるのか。
よく言われるのは「中国の抹茶は粗悪で、宇治抹茶に比べて味も香りも劣る。だから日本は質で勝負だ」といった意見だが、これは白物家電や半導体などでも見られた、日本の典型的な「負けパターン」だ。
「日本の職人文化は世界一」と余裕をかましている間に、中国・台湾・韓国にどんどん追い抜かされてしまったことからも分かるように、日本人が「品質」にこだわり始めると、スピード感とマーケティングがおざなりになって「惨敗」する。もっと言ってしまうと、世界でMATCHAを楽しんでいる人々の多くは、そこまで「本物の抹茶」にこだわっていない。
「それは外国人の味覚をバカにしすぎだ」という人もいるだろうが、「抹茶の国」であるわれわれでさえそうなのだ。
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