1人で30枚購入する人も…… ワークマン、リカバリーウエア市場に“低価格”で殴り込み 後発から業界トップを狙えるか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
ワークマンが低価格のリカバリーウエアを本格展開し始めた。後発組として業界トップを狙えるのか……?
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
着るだけで疲労や筋肉のコリを和らげる「リカバリーウエア」市場が、にわかに活気づいている。ワークマンが2025年秋冬シーズンから、リカバリーウエアに本格参入したためだ。
全国に1000店舗以上展開する「ワークマンプラス」や「ワークマンカラーズ」などの店舗では、入口正面にリカバリーウエアの特設売場を設置。「#ワークマン女子 東京ソラマチ店」を含む5店舗は、9月2日から外観を緑色にラッピングし、リカバリーウエアのコンセプトショップとして販促を強化している。
11月5日に発表された「2025T&D保険グループ新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)のノミネート30語の1つにも、リカバリーウエアが挙がった。
リカバリーウエアとは、一般医療機器に分類される「家庭用遠赤外線血行促進用衣」のこと。厚生労働省では、遠赤外線の血行促進作用により、疲労や筋肉のこりなどの症状を和らげることを目的とした衣料形状の器具としている。
同社はこれまでも作業服の一部としてリカバリーウエアを取り扱ってきたが、2025年秋冬シーズンは、前年の10倍となる200万枚の販売を計画しており、その意気込みはこれまでとは明らかに異なる。年間販売枚数は530万枚、売り上げは2025年秋冬で34億円、2026年春夏では51億円を目標としており、業界トップの座を狙う。
その強みは、業界最安水準となる低価格だ。主力商品は既存大手ブランドの5分の1〜10分の1となる1900〜2500円で、リカバリーウエア市場の主導権を一気に取りに行こうとしている。
ワークマンは2018年より、拡大するアウトドア市場を背景として、作業服の機能性をそのままに、一般消費者に向けた商品を展開。新業態も次々と打ち出し、業容を飛躍的に拡大してきた。
コロナ禍では、三密を避ける目的でキャンプや釣りといったアウトドア需要を受けて成長。しかし、コロナ収束後、アウトドアブームが落ち着いたことで、次なる成長分野を探していた。そこで目を付けたのが、リカバリーウエアである。
本稿では、ワークマンがリカバリーウエアに本格参入した狙いと、その市場が持つ可能性を紹介したい。
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