オフィス家具大手のイトーキがなぜ? 物流現場の「いつもと違う」を検知するシステムに本腰のワケ(1/2 ページ)
オフィス家具大手のイトーキが、次なる成長領域として物流システムへの注力に乗り出している。オフィス家具事業が好調な中、イトーキはなぜ、物流システムに注力するのか。
オフィス家具などワークプレイス事業で1023億円(2024年12月期)を売り上げるイトーキが、次なる成長領域として物流システムへの注力に乗り出している。同社は1985年から物流業界向けに、高速化・小型化を追求したシャトル式立体自動倉庫システム(以下、SAS)の製造販売を開始。これまでに750機を納品してきた実績がある。
イトーキの湊宏司社長は「SASを含む設備機器・パブリック事業を、ワークプレイス事業に次ぐ第2の柱として位置付けている」と話す。オフィス家具事業が好調な中、イトーキはなぜ、物流システムに注力するのか。
イトーキ、物流システムを第2の柱へ なぜ?
EC市場の成長に伴い宅配便の取扱件数が増加する一方、物流業界の人手不足が深刻化している。政府が2023年に公表した「物流革新緊急パッケージ」によると、何らかの対策を講じなければ2030年度には最大34%の輸送力不足が発生し、物流機能の維持が困難になる可能性があるとされている。
人手不足を補うため、物流現場では自動化・省人化が加速している。しかし、自動化・省人化は設備に依存する部分が大きく、一部分のトラブルが配送計画やサプライチェーン全体の遅延を引き起こすリスクが生まれている。安定した供給体制の確保は、経済活動に直結する喫緊の課題だ。
イトーキは、こうした課題を解決するため、日本オラクルと協業。自動物流倉庫の故障の兆候を事前に把握する予知保全システム「スマートメンテナンス」と、現場に行かずに遠隔で状況把握・復旧を支援できる「リモートメンテナンス」を開発した。2026年1月に、両システムを一体化した保守サービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」として発売する。
保守サービスに着目した背景について、湊氏は「設備機器・パブリック事業を第2の柱へと成長させるには『売って終わり』ではなく、保守という立場で顧客に伴走しながらシステムをチューンアップしていくことが必要だ」と説明する。
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