「コレ、総務の仕事?」と思っても 社内対立の“仲裁役”は買ってでもやるべき理由:「総務」から会社を変える(1/3 ページ)
「総務は特定の事業部門に属さないから、第三者的に話を聞いて、落としどころを見つけてくれるだろうと期待されているんです」。この言葉に、深く共感する総務パーソンは少なくないはずだ。今回は、なぜ総務にこうした「仲介役」が回ってくるのか、この役割をどう戦略的に全うすべきかについて考察する。
「豊田さん、うちは総務が“駆け込み寺”みたいになっていましてね……」
先日、ある企業の総務部長と話をした際、こんな発言があった。詳しく聞くと、総務部が日常的に「仲介役」を担っているとのこと。
いわく、現場が熱望する新システム導入と、情報システム部門のリソースやセキュリティ懸念との調整。休職中の社員と、現場の上司、そして産業医とのデリケートな連絡役。果ては、会議室の予約重複や、議論が白熱しすぎた後の“小競り合い”の仲裁まで。
「総務は特定の事業部門に属さないから、第三者的に話を聞いて、落としどころを見つけてくれるだろうと期待されているんです」
この言葉に、深く共感する総務パーソンは少なくないはずだ。今回は、なぜ総務にこうした「仲介役」が回ってくるのか、その背景を整理し、この役割をどう戦略的に全うすべきかについて考察する。
総務に仲裁や調整役が期待される背景には、大きく分けて3つの理由がある。
なぜ「仲介役」は総務に回ってきてしまうのか
1. 構造的な「中立性」
最大の理由は、総務が特定の事業ラインに属さない「全社横断組織」であることだ。営業部門と製造部門、あるいは現場と管理部門といった形で利害が対立した際、どちらの側にも偏っていない「中立的」な立場として総務が認識されている。当事者同士では感情的になってしまう議論も、総務というワンクッションを置くことで冷静になれる、というわけだ。
2. 「場」の管理者としての役割
総務は、オフィスという物理的な「場」と、社内規程や企業文化といった「仕組み・風土」の両方を司る。会議室のトラブルのような物理的な場の問題から、部門間の連携不全といった仕組みの問題まで、「調和を乱す事象」はその管理者である総務が対応すべき、と無意識に期待されている。
3. 情報の「ハブ」機能
総務は、社内のあらゆる部署・階層の社員と接点を持つ、情報の「ハブ」である。経営層の意向も、現場の細かな悩みも、総務には自然と集まってくる。この「情報量の多さ」と「視野の広さ」が、「あの人に聞けば、社内全体の事情を汲んで判断してくれるだろう」という信頼につながっているため、仲介役が回ってきやすい。
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