「有隣堂」3店舗目の藤沢店が閉店 約2年かけて書店再生の実験店に:2027年末に閉店(1/2 ページ)
有隣堂は、開店60周年を迎えた藤沢店を2027年末に閉店する。約2年間かけて「これからの書店」をテーマにした実験的企画展を実施するが、その狙いとは。
有隣堂(横浜市)は、開店60周年を迎えた藤沢店を2027年末に閉店すると発表した。閉店までの約2年間、「お別れだけど、終わりじゃないのです。」を合言葉に、「これからの書店」をテーマにした実験的企画展シリーズ「SAYONARA FESTIVAL」を開催している。
1〜2カ月ごとにテーマを変えた展示や書籍販売、イベントを展開し、「本との新しいかかわり方」を提案。藤沢店での取り組みを、有隣堂全体の店舗設計や接客などに生かしていく予定だ。
閉店までの2年間を“書店再生の実験店”に
藤沢店は、有隣堂本店(現在の伊勢佐木町本店)、西口店(現在の横浜駅西口各店)に続く3店舗目として1965年11月20日に開店した。売り場は「フジサワ名店ビル」の2〜5階に位置し、延床面積は約1200平米。約60年にわたり藤沢市および湘南エリアの文化、教育、生活に密着してきたが、このたび「藤沢駅南口391地区地区計画」に伴い、閉店が決まった。
有隣堂では今回の閉店を「終わり」ではなく「問い直しの機会」と捉えており、「60年間、地域の生活に寄り添ってきた書店が役割を終えるのではなく、その蓄積を未来へ接続する必要があると考えた」(同社)。
昨今の書店は「本を売る場所」だけでなく、「思考や発見が起こる環境」を設計する役割へと拡張しつつあるとしており、残された約2年間を「これからの書店を考えるための実験の期間」としていくという。
「オンラインで本を入手できる時代において、店舗には“手に触れ、選ぶ体験”や“人と交じる余白”といった、代えのきかない価値が求められている。本取り組みを通じて、その体験価値をどのように形にしていくかを検証する」(同社)
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