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「空間除菌」批判のあとに何が起きたか 二酸化塩素業界の次の一手スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

かつて「クレベリンショック」と呼ばれた空間除菌批判から数年。二酸化塩素を使う製品はいま、消費者庁の厳しい基準のもとで“正攻法”の再起を図っている。信頼回復への道のりは……。

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スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 クレベリン、ウイルオフ、アレルブロック、ドクターデオ(Dr.DEO)、エアドクター(DOCTORAIR)……これらは現在「二酸化塩素によって空間のウイルス除去・除菌ができる」とうたって販売されている製品である。

 「あれ? そういう製品ってコロナ禍によく見かけたけれど、確か消費者庁から『根拠なし』って言われてなくなったんじゃなかったっけ」と思う人も多いだろう。

 そうしたイメージを抱く人が多いのも理解できる。近年、いわゆる「空間除菌製品」は、国による監視や指導が厳しいジャンルの一つとなっている。

 まず、多くの人の記憶に残っているのは2022年に起きた“クレベリンショック”である。


2020年に発売されていた「クレベリン」(出典:プレスリリース)

 2022年1月、消費者庁が「クレベリン」のパッケージなどでうたっていた「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などの表示に合理的根拠がなく、「優良誤認表示」(消費者に実際の製品よりも著しく優れていると誤解させる表示)として措置命令を下したのだ。

 これを受け、製造販売元の大幸薬品は「速やかに必要な法的措置を取る」と徹底抗戦の構えを見せたが、同年4月にはさらなる措置命令の「追撃」を受け、翌5月には違反を認めて謝罪。6億744万円の課徴金納付命令を受け入れた。ちなみに、景品表示法違反(優良誤認)に基づく課徴金命令額としては過去最高額だった。


消費者庁の発表資料

 そんな出来があってから事があってから1年もたたないうちに、空間除菌業界をさらなる衝撃が襲う。

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