「双子の母親」だから分かった不安とニーズ 見過ごされていた「多胎育児」という超ニッチ市場にどう挑むのか(2/3 ページ)
少子化が進む中、さらにニッチな多胎児の親を対象にしたアプリが、この3月に誕生した。アプリを手掛ける企業を取材した。
トーク・ショップ・SOSの3機能
momsは現在、「トーク」「ショップ」「SOS」の3機能を実装する。トークは各カテゴリーに分かれた掲示板のような仕組みで、利用者はメッセージや質問を投稿できる。他者のコメントに返信できるほか、「いいね」「ブックマーク」などの機能もある。例えば、「簡単に作れる離乳食のおすすめメニューを教えてほしい」という投稿に対し、先輩親からさまざまな回答が寄せられている。
「育児に関する質問を投稿すると、先輩ママたちが回答してくれます。検索機能もあり、キーワードを打ち込むと、それに関わる質問を見つけることもできます。『書き込むほどではないけど、同じような悩みを持つ人はいないかな?』と思ったときに便利な機能です」(牛島氏)
他の育児アプリでも多胎に関する相談はできるが、そのほとんどは単胎児に関するもの。多胎に関する質問は埋もれてしまう。momsの対象は多胎育児に携わる親なので、埋もれることはほぼない。現時点でDM(ダイレクトメッセージ)機能は実装していないが、今後の資金調達を経て追加も検討している。
運営費用は企業から得るビジネスモデル
ショップ機能では、デカフェコーヒーなど多胎親を対象とした商品を販売している。ECのような仕組みで、出品する企業から販売手数料を得て、アプリの開発・運営費用に充てている。現在の出品数は数種類にとどまるが、企業からの引き合いもあり、防災備蓄用の離乳食や玩具など商品数を増やす方針だ。
「現状、ECでの販売手数料が全収益に占める比率は小さく『エンゲージメント・マーケティング』が主です。『0歳時に必要なものはこれ』といった商品パッケージを当社で組み、当事者目線に沿った情報を提供しています。そして、商品を販売する企業から収益を得る仕組みです」(同前)
「エンゲージ・マーケティング」とは、消費者を単に受動的な存在と位置づけるのではなく、利用者と消費者のつながりや消費者の関与を重視しながら展開するマーケティング手法を意味する。例えば、見込み客を分析したうえで商品を開発し、リリース・宣伝する手法などが該当する。
momsでは、アプリ内に企業から出稿してもらうのではなく、消費者視点に沿った情報を提供しているわけだ。トーク画面の上部には現在、双子用節句人形やギフトなどのコラボ企画が表示されている。
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