「M&A」はタイパのいい副業? 個人の買い手が3年で3.5倍に増えた理由(5/5 ページ)
近年、M&Aプラットフォームを使用して“個人”で事業承継をする人が増えている。個人の買い手は3年で3.5倍に増加しており、副業で始める人が多いという。その背景に、どんな理由があるのか。
M&Aは「キャリアの選択肢」になるか
2025年10月、トランビでは事業承継を通じた主体的なキャリア形成を後押しする「継キャリ 推進プロジェクト」を発足した。就職・転職・起業に次ぐ“第4のキャリア”として、M&Aをより一層、推進していくそうだ。
トランビのほか、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏と法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔氏が中心となり、M&Aのナレッジ提供や「副業としての継業」を支援する制度設計の開発を進めていくとしている。
本プロジェクトでは、継業キャリアを検討する人々の動機や目的を分析し、「スキマチャレンジ派」「キャリアジャンプ派」「パラレルライフ派」「フルコミット派」の4つのタイプに分類して、最適なスタイルを見つけやすくしている。
国が実施する就業構造基本調査によると、2022年の副業者数は332万人で、就業者数に占める副業者比率は5%だった。10年前と比較して、副業者数は4割強増加している。全体で見ると、副業をしている年齢は40〜64歳が最も多いが、年齢階層別の副業者比率では、この10年でシニア層が大きく増加している。
「副業」というカテゴリーで見ると、中高年層の増加が目立つのに対し、トランビにおける個人の買い手は20〜30代の若年層が最も増加している。同社が若年層をターゲットに施策を打ったわけではなく、自然とこの世代の利用者が増えたという。華井氏も話していたように、「M&Aはタイパのいい副業やキャリアアップの選択肢である」と考える若年層が増えているのかもしれない。
著者プロフィール:小林香織
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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