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一度はV字回復したが、再び赤字に転落…… 鴻海に左右されたシャープの歴史を振り返る(3/3 ページ)
液晶などで存在感を示したものの、2010年代に赤字転落して債務超過にも陥ったシャープ。そこから鴻海の力を借りてV字回復を果たしたが、近年はまた不調に陥っている。同社の歴史を振り返る。
SDPはデータセンターなどとして活用予定
シャープは現在も鴻海グループが株式の過半数を握っている。そもそも大型パネルの市況は、コロナ需要の反動などにより2021年の夏頃をピークに悪化に転じており、シャープにとって再取得するメリットは小さかったはずだ。シャープがSDPという「お荷物」を押し付けられたような気がしてならない。
結局、SDPは業績悪化を理由に生産を停止している。一部はソフトバンクに売却済みで、データセンターとして活用する予定だ。積水化学工業が敷地の一部を取得し、ペロブスカイト太陽電池の生産工場として稼働させるとも発表している。鴻海主導でも堺工場を立て直すことはできなかったようだ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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