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SaaSの成長を止める「財務の壁」 月次決算業務「20日→3日」を実現した企業が語る、生き残りの条件とは?(2/2 ページ)

AIブームに沸く企業の裏で、財務部門が成長のボトルネックになっている。財務部門が戦略アドバイザーとしての役割を担うためには、これまでの作業に追われる業務状況の改善が不可欠となる。サブスクリプション管理プラットフォーム大手、米Zuoraは財務プロセスの見直しに取り組み、月次決算作業を20日から3日に短縮した。

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月次決算20日が3日に――Zuora自身の改革

 ドブソン氏がZuoraに入社した当時、同社の月次決算には20日かかっていた。チームは懸命に働いていたが、属人的な業務に追われ、個人の頑張りに頼る状態だった。

 請求処理の不整合対応や回収業務の混乱処理に時間を取られ、四半期ごとの監査対応は毎回バタバタだった。何より問題だったのは、20日間も締め作業に追われるため、チームが過去を振り返るだけで精いっぱいだったことだ。「会社がどこにいたかを報告するだけで、どこに向かうべきかを描けなかった」とドブソン氏は振り返る。

 新任のCAOとして、ドブソン氏には「5日以内に締めること」というミッションが与えられた。20日から5日へ──決して小さくない目標だ。

 ドブソン氏は「Zuora on Zuora」と名付けたプロジェクトを始動させた。Zuoraのシステムを再導入し、ベストプラクティスに沿って運用を見直す。顧客に勧めていることを、自社でも実践する。

 チームは全てのプロセスを一つずつ見直した。「これはなぜ存在するのか。何を達成しようとしているのか。もっと良い方法はないのか」。全てのカスタマイズを疑い、手作業を減らし、自動化を徹底した。個人の頑張りに頼るのではなく、再現可能で、ビジネスが成長しても破綻しない仕組みを作った。

 「人は変化に抵抗する」とドブソン氏は言う。「長年のやり方だし、うまくいっている。なぜ今これに時間を使うのか、と」

 しかし小さな変更の積み重ねが、大きな変化を生んだ。チームは年間で数カ月もの時間を取り戻し、本来やりたかった仕事――ビジネスを前に進める仕事に集中できるようになった。

 現在、Zuoraの月次決算は3日以内で完了する。チームの満足度は上がり、受け身ではなく能動的にビジネスを推進するようになった。「これはチームが長期的な利益を理解し、短期的な混乱に耐えてくれたからこそ実現できた」とドブソン氏は強調する。


米Zuoraの最高会計責任者(CAO)マット・ドブソン氏(編集部撮影)

 ここまで、Zuoraの財務部門改革について紹介した。次回の記事では、財務部門に求められる新たな役割や、他部門との連携について詳しく解説する。

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