「設立10年未満」の企業、倒産がじわり増加 生存率が伸びないワケ:東京商工リサーチが調査
設立10年未満の企業で倒産が増加している。東京商工リサーチの調査によると、1〜10月の倒産件数は8594件(前年同期比3.2%増)で、個人企業を除く7162件のうち、2086件(構成比29.1%)が設立10年未満であることが分かった。
設立10年未満の企業で倒産が増加している。東京商工リサーチの調査によると、1〜10月の倒産件数は8594件(前年同期比3.2%増)で、個人企業を除く7162件のうち、2086件(構成比29.1%)が設立10年未満であることが分かった。構成比で見ると、2016年(22.7%)から6.4ポイント上昇した。
なぜ倒産? 原因のトップ3は?
倒産した原因を見ると、設立10年未満では事業上の失敗などを含む「放漫経営」が230社(構成比11.0%)だった。倒産全体では放漫経営を理由とする倒産は4.9%で、設立10年未満が6.1ポイント上回った。販売不振や売掛金などの回収難といった「不況型倒産」の構成比は設立10年未満が76.0%、倒産全体では84.2%と8.2ポイントの差があった。
地区別では「関東」が961社(構成比32.1%)を占めた。東京商工リサーチは「関東は人材確保のしやすさやアクセスの良さなどから起業が相次ぐが、同業他社も多く競争環境は激しい。事業基盤を確立できずに、市場から撤退を余儀なくされる企業も多い」と指摘する。
2014年6月、政府は民間の力を引き出す成長戦略として、開業率を5%から欧米並みの10%に倍増する目標を打ち出した。日本の稼ぐ力を取り戻す企業支援プロジェクトだったが、事業計画や資金計画に精緻さを欠く企業も少なくない。
設立10年未満の倒産が占める割合が高いのは農・林・漁・鉱業や、小資本でも開業可能な飲食店などのサービス業などが目立った。初期投資の負担が重い製造業などと差が生じている。
最低資本金制度の廃止で、資本金1円でも法人設立が可能になった。東京商工リサーチは「資産背景や信用力が乏しい場合、取引や融資判断において不利になるケースも多く、資金と経営の両面からの支援が必要だ」とコメントした。
調査は、1〜10月の企業倒産8594件のうち、個人企業を除く7162件を対象に、法人設立から設立10年未満と全倒産を比較、分析した。
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