広告費ゼロでも人気の理由は? 上空100メートルから“教科書の古墳”を眺めるバルーン観光:この発想はなかった(1/4 ページ)
大阪・堺市で世界遺産「仁徳天皇陵古墳」を上空から眺めるバルーン観光が好調だ。運行開始から予約が埋まり続け、平日でも行列ができる人気の背景を探った。
教科書で見た「鍵穴古墳」(前方後円墳)を地上100メートルから見下ろす――。世界遺産「仁徳天皇陵古墳」を気球で見る「おおさか堺バルーン」が大阪・堺市の大仙公園で始まった。10月7日に運行を開始し、11月17日時点で累計9716人が搭乗。平日も予約が埋まるなど、好調が続いている。
おおさか堺バルーンは、フランス・AEROPHILE社製の直径23メートルのヘリウムガス気球で、1回のフライトは約15分間。地上100メートルまで上昇し、世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」(もず・ふるいちこふんぐん)を一望できる。
定員上限は30人だが、風の状態によって変動するため、通常15人前後で運行している。営業時間は午前10時から午後6時まで。料金は大人4200円、子ども3000円で、堺市民割引や予約割引もある。
運営はアウトドア事業を展開するクロスプロジェクトグループのアドバンス(兵庫県豊岡市)が行い、堺市と連携して進めている。同事業が生まれたきっかけは、2019年に百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録されたことだ。
中でも仁徳天皇陵古墳は、全長486メートルの世界最大級の墳墓(ふんぼ)だが、地上から全体像を確認できない。周辺には見学デッキや高台もなく、世界遺産としての価値が伝わりづらいという課題があった。そこで、韓国・水原市の世界遺産「水原華城(スウォンファソン)」をヘリウムガス気球で楽しむ観光体験を参考にして企画を進めた。
ヘリウムガス気球は、熱気球より飛行できる風速条件が広めで、エンジン音がなく、CO2排出もゼロ。一度に乗せられる輸送力も高い。
「静かさや環境負荷の低さ、安定した輸送力を考えると、ヘリウムガス気球以外の選択肢はなかった」と運営責任者の樋口正輝氏は語る。11月16日には、これまでで最多となる600人が搭乗した。
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