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「スーパー戦隊」終了の理由は? レッドだけが残った、少し切ない現実スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

シリーズ終了が発表された「スーパー戦隊」。主な原因は週刊誌に報じられた「戦隊内不倫」という話もあるが、それ以前に「シリーズ終了」は時間の問題だった可能性がある。なぜかというと……。

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スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 半世紀にわたって日本の子どもたちに勇気を与えてきた「スーパー戦隊シリーズ」(東映)が、ついに消える。現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(テレビ朝日系)を最後に終了することが発表されたのだ。


『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(出典:公式Webサイト)

 実はこのゴジュウジャー、2025年9月に「文春報」を被弾して「戦隊内不倫」がすっぱ抜かれた。ゴジュウユニコーンなる女性戦士を演じていた19歳のグラビアアイドルが、主人公・コジュウウルフのスーツアクターと不倫関係にあることが報道された。さらに追い討ちをかけるように、未成年飲酒もしていた事実まで発覚したのである。

 そのため、当初は「不祥事が原因で打ち切り」との憶測も流れたが、報道で聞こえてくる原因は「疲弊する制作現場」と「業績低迷」のようだ。

 ビデオリサーチによれば、10月26日(関東地区)の同番組平均世帯視聴率は1.9%。日曜朝の時間帯でこれはかなり厳しい。「戦隊内不倫」報道では若手俳優たちの「朝から晩まで拘束されるわりには安いギャラ」も注目を集めたが、制作費も潤沢ではない中で、アクションの練習などもして「結果」がこれでは、演者もスタッフもモチベーションは下がってしまう。

 こうした人気低迷は、グッズの売り上げからもうかがえる。スーパー戦隊シリーズのおもちゃ・映像音楽などIPを展開しているバンダイ・ナムコホールディングスの決算資料を見ると、2025年3月通期の売り上げは64億円。仮面ライダーの307億円、ウルトラマンの140億円と大きく差をつけられてしまっている。


バンダイ・ナムコホールディングスIP別売り上げ高(出典:同グループの決算資料

 つまり、50年続いた「スーパー戦隊」がその歴史に幕を閉じるのは、時間の問題だったといえる。ただ、個人的には今回のシリーズ終了は、会社で例えると「廃業」というよりも「リストラ」だと思っている。

 経営再建を目指す企業の人員整理と同じく、「スーパー戦隊」の中でほとんどのキャストが退く中で、わずかだが生き残っている者もいるからだ。それは「レッド」である。

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