「ディズニー離れ」のうわさは本当か 入園者2700万人と売上のギャップ(1/6 ページ)
東京ディズニーリゾートの入園者数は年間約2700万人で横ばいに見えるが、売り上げは過去最高を更新。猛暑やチケット値上げによる「ディズニー離れ」のうわさと、好調な業績のギャップを解説する。
草刈貴弘氏のコラムについて:
企業を取り巻く環境は、グローバル化やデジタル化、消費者の価値観の変化など、さまざまな要因によって日々変化している。業績の数字だけでなく、その背後にある経営の工夫や市場構造の変化に目を向けることが重要だ。本コラムでは、注目企業の動向を多角的にとらえながら、現代ビジネスの本質や今後のヒントを分かりやすく伝えていく。
日本各地で猛暑日が過去最多を更新し、あらゆる業界に影響が及んでいます。中でも、屋外での長時間滞在が前提となるテーマパーク業界は深刻な打撃を受けており、“日本最強のテーマパーク”である東京ディズニーリゾート(以下、ディズニー)も例外ではありません。
ディズニーを運営するオリエンタルランドの2025年3月期決算説明資料にも「猛暑による入場者数減」との記載があり、2023〜24年度の入場者数は、ほぼ横ばいで推移しています(2750万→2755万人)。
また、株価も2023年6月以降は伸び悩み、「ディズニー離れ」と報じられることも。USJなど競合テーマパークの躍進もあり、「ディズニーは以前ほどの勢いがなくなった」と感じる人も少なくないでしょう。
しかし、ディズニーを運営するオリエンタルランドの2025年3月期決算を見ると、消費額の向上やホテル事業が好調で、ゲスト1人当たりの売上高は過去最高を記録しています。つまり、数字上は「逆風どころか絶好調」ともいえる状況なのです。
では、なぜ「ディズニーは不調だ」と感じる人が多いのでしょうか。そして今後、オリエンタルランドはどのような方向に進んでいくのでしょうか。今回は「不調だ」と感じる世間と、実は「好調な」業績とのギャップをひも解きながら、今後の展望を探っていきます。
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