「象印食堂」好調の秘密は? 炊飯器が生んだ“体験型マーケ”がぐっと効いている(1/5 ページ)
2100円のランチでも月商3500万円を記録する象印食堂。炊飯器「炎舞炊き」の力でご飯の味を追求し、前年比120%の売り上げを達成した人気の理由と運営の工夫を紹介する。
茶碗を手にした客がおかわりコーナーで列をなす。3杯、4杯とおかわりを重ねる姿もチラホラ――。
象印マホービン(大阪市、以下象印)が運営する「象印食堂」が連日にぎわいを見せている。ランチの定食は2100円からと決して安くはないが、平日でも行列ができるほどだ。物価高で財布のひもが固くなる中、なぜこれほど人気なのか。
同食堂は、象印が手掛ける初の飲食店舗として、大阪・なんばと東京・丸の内で展開している。2025年度(2024年11月〜2025年10月)は2店舗合計で約15万人が来店し、月商は前年同月比120%の3500万円に達する。
特徴は圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」シリーズで、炊いたご飯を提供している点だ。白米の「通常炊き」と「炊き分け」、月替わりで「炊き込みご飯」などを用意し、おかわり自由で出している。炎舞炊き(公式サイト価格10万2080円〜)とは、同社の最高級炊飯ジャーで、累計出荷台数は100万台を突破している。
象印といえば、魔法瓶や炊飯器を製造する家電メーカーで知られるが、なぜ飲食事業に取り組んでいるのか。
きっかけは、2016年に実施した期間限定イベントだった。当時、炊飯器のフラッグシップモデル「南部鉄器 極め羽釜」のプロモーションとして、東京・表参道で「象印食堂」を10日間限定で運営。1食1000円、1日150食限定で提供し、開店から1時間半で完売するほどの盛況ぶりだった。
「評判が良く、翌年は東京と大阪で開催したところ、常設店を作ってほしいという声をいただいた」と、飲食事業の責任者・北村充子さん(経営企画部事業推進グループ長)は振り返る。
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