インタビュー
「象印食堂」好調の秘密は? 炊飯器が生んだ“体験型マーケ”がぐっと効いている(2/5 ページ)
2100円のランチでも月商3500万円を記録する象印食堂。炊飯器「炎舞炊き」の力でご飯の味を追求し、前年比120%の売り上げを達成した人気の理由と運営の工夫を紹介する。
炊飯器のプロモーションとしてオープン
2017年、南海電鉄は商業施設「なんばスカイオ」(大阪市)を建設する際、健康志向のフロアに入るテナントを探していた。担当者が期間限定の象印食堂を訪れ、「健康=和食」というイメージが施設のコンセプトに合うと判断し、象印に出店を打診した。
象印も家庭での炊飯機会の減少や炊飯器市場の伸び悩みを課題と捉えていたことから、「炊飯器のプロモーションになる」と判断。象印食堂1号店は、同じ年(2018年)に発売した「炎舞炊き」の味を体験できる店としてオープンした。
しかし、社内に飲食事業のノウハウはなかった。そのため、店舗の運営はサントリー系列のダイナック(東京都港区)に委託した。象印の商品力と知識、飲食のプロの知見を組み合わせ、約1年をかけて開業にこぎつけた。
開業当初から、北村さんは「家で再現できるおいしさ」にこだわった。一般的な飲食店では、店独自の調理法を追求することが多い。しかし、象印食堂は炊飯器の販売プロモーションのための店舗である。
「店でしかできないはダメ。家庭でも同じようにおいしく炊けることを伝える必要があった」(北村さん)
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