インタビュー
「象印食堂」好調の秘密は? 炊飯器が生んだ“体験型マーケ”がぐっと効いている(3/5 ページ)
2100円のランチでも月商3500万円を記録する象印食堂。炊飯器「炎舞炊き」の力でご飯の味を追求し、前年比120%の売り上げを達成した人気の理由と運営の工夫を紹介する。
コロナ禍が転機に
オープン当初から行列が絶えず、予想以上の盛り上がりだった。一方で「1年がたっても行列が収まらず、レベルアップしたくても時間が取れなかった」(北村さん)ため、業務改善に取り組む余裕がなかったという。
その後、コロナ禍で商業施設が緊急事態宣言により休業した期間は完全に閉店し、それ以外の期間は時短営業で対応した。北村さんはこの期間を「学びとレベルアップの機会」と捉え、改革に着手した。
まずは、ご飯の量をグラム単位で管理するようにした。当初は「食べ放題」ということもあり、大盛りで提供する傾向があった。だが、客から「お腹いっぱいになって3種類の食べ比べができない。減らしてほしい」という声があった。
そこで、標準、少なめ、多めの3サイズに変更した。標準盛りは80グラムと、一般的なご飯一杯分(160グラム)の半分程度に抑えている。食べ比べがしやすい設計だ。
スタッフの動線も改善した。大阪本店では、おかわりのご飯をよそう位置を客席全体が見渡せる場所に変更した。後ろにはキッチンがあり、前方には客席や入口まで視界が届く。この配置により、スタッフは野球のキャッチャーのように店全体を見渡しながら、指示を出せる司令塔の役割を果たし、作業効率を高めた。
さらに、スタッフはごはんをよそって手渡すだけでなく、ごはんの量や炊き上がり、「釜が空になった」といった状況も素早く把握して伝えられる体制にした。
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