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「外販」も視野に ファイターズ“大航海”を支える「デジタル戦略」の裏側(3/4 ページ)

ファイターズの新球場「エスコン」には、多くの試合がある日もない日も多くの来場者が訪れる。その背景には、顧客IDを活用した1to1コミュニケーション戦略がある。その取り組みは、野球業界にとどまらない、スポーツ業界のスポンサービジネスに拡張をもたらす可能性を秘めている。

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チケット購入率が10%増 マーケ施策の幅が広がる

 顧客の来場回数を増やす──取り組みの成果は数字にも表れ始めた。

 例えば、その日の来場者に向けて、試合観戦直後に「次回の来場回数プレゼントまでもう少し!」というメッセージを配信したところ、チケット購入率が最大10%リフトしたそうだ。

 顧客エンゲージメントプラットフォームを導入し、データ基盤が整っていることで、マーケティング施策の幅も広がった。

 11月には、チケットの発売案内を、ファンクラブの5つのランクに応じた発売タイミングに合わせて、ランクの高い顧客から優先的に通知配信した。

 これまでは、送信先の指定、コンテンツの出し分け、適切な配信時間の検討など、顧客一人一人に合わせた情報発信を行うには工数がかかりすぎており、作業効率の面から難しかった。 宇田忠扇氏(マーケティング部 顧客マーケティンググループ チーフ)は「これまで工数が原因で『やってもやらなくてもいいか』と敬遠されていた施策に挑戦できるようになりました」と手ごたえを語る。


ファイターズファンクラブは5つのランクに分かれており、会員のランクに合わせて発売日を調整した(公式Webサイトより)

 他にも、いわゆる「かご落ち施策」として、カートに入れて決済されていない観戦チケットがある客に対し、購入しようとしている座席からの球場の見え方を伝える画像を案内。「観戦する場合、こんな感じの見え方ですよ」と視覚的に伝えるようにした。

 ツールを活用することで、ユーザーごとに情報出し分けるという作業が可能に。少人数でもリッチな顧客体験の提供を実現する。

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