サブウェイが絶好調のワタミ “10年連続の賃上げ”に向けた戦略とは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
昨年サブウェイを買収したワタミが好調だ。宅食でも新メニューを投入するなど、積極的な動きを見せている。賃上げにも前向きだが、その秘策とは……?
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
ワタミの2026年3月期第2四半期(中間期)連結決算は、比較的堅調だった。売上高は447億1600万円(前年同期比3.1%増)と増収を維持。営業利益は21億3900万円(同4.1%減)と不調だったが、経常利益は22億4200万円となった。
2024年10月のサブウェイ日本法人の買収発表以降も成長が続き、今年10月までに既存店売上高は“60カ月連続”で前年を上回った。渡邉美樹会長は「味を見直したコーヒーが好評で、前年比120%で推移している」と語り、ワタミ流の改革が奏功した形だ。
サブウェイ以外の外食事業も好調だ。中間期の既存店売上高は6.2%増となり、居酒屋・焼肉業態を中心に、手作りにこだわる姿勢やサービスレベルの向上が評価されている。
一方、宅食事業では中間期が減収減益となった反省を踏まえ、9月15日に弁当価格を590円から450円へと大幅に値下げ。後期高齢者向け商品も新たに提案した。メーカー品に頼らず、手作りによって製造コストを抑えるなど、さまざまな工夫によって業界最安値レベルとなる価格帯の弁当を実現した。
農業分野では、コメの本格的な増産を開始。将来は自社飲食店で使用するコメを全て自社農場でまかなう方針だ。
これらの取り組みによって収益性を高め、ワタミは7%の賃上げにも踏み切ると発表。「これを10年続ければ給料は2倍になる。業界で最も給料の高い会社にしたい」(渡邉会長)という。
本稿では、ワタミの好調ぶりや改革の実像について詳しく見ていきたい。
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