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AI面接が「ハラスメント予備軍」を見抜く 人でも難しい“資質の見極め”、どう実現?

2017年からAI面接サービス「SHaiN」(シャイン)を提供するタレントアンドアセスメント(東京都港区)は12月3日、サービスの刷新を発表した。山﨑俊明代表取締役は「SHaiNは人の資質を見極められる」と強調する。どのようにして、人の資質を見抜くのか。

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 採用活動のDXが加速する中、これまで「人がやるもの」という認識が当たり前だった面接でもAI活用が進んでいる。キリンホールディングスやローソンでは、2026年度の新卒採用において、一次面接をAIが担当した。

 こうした中、2017年からAI面接サービス「SHaiN」(シャイン)を提供するタレントアンドアセスメント(東京都港区)は12月3日、サービスの刷新を発表。AIエンジンを、2024年12月に資本業務提携を締結したPKSHA Technology(東京都文京区)製に切り替え、ヒアリング力と評価機能を向上させた。

 近年、さまざまなAI面接ツールが登場しているが、タレントアンドアセスメントの山﨑俊明代表取締役は「SHaiNは人の資質を見極められる」と強調する。どのようにして、人の資質を見抜くのか。

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左:PKSHA Technology 松下直樹氏、中央:タレントアンドアセスメントのイメージタレント 高橋美紅氏、右:タレントアンドアセスメント 山﨑俊明代表取締役(編集部撮影)

目に見えない「資質」をAIで見抜け

 SHaiNは、24時間365日、いつでもどの場所でもAIと対話しながら⾯接できるサービスだ。受験者はスマートフォンやタブレットから、発行された受験URLにアクセスすると、AIが自動的にインタビューを開始する。

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面接の様子(プレスリリースより引用)

 面接後は、音声認識と文字起こしを経て、データをもとに自動的に評価を付け、レポートを生成し納品する。面接の受験後15分以内には手元にレポートが届く。

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面接評価レポート(プレスリリースより引用)

 今回の刷新では、ヒアリング力と評価機能を向上させた。ヒアリング力向上のため、強化したのが対話技術だ。オウム返しではなく、相手の話を受け取って会話する傾聴技術を導入し、人間らしい対話を再現した。山﨑氏は「人が持つ『うなずき』や『なるほど』といった反応をAIに取り入れ、聞いてくれている感を出したかった。PKSHA Technologyの技術を活用できたことで、実装につながった」と説明する。

 評価機能の向上では、面接後のレポートを改訂し、新しくコンピテンシー(資質)の概念を導入した。「例えば、協調性という言葉を、感受性(人への優しさ)と柔軟性(上司・先輩への融通性)という目に見えない資質の組み合わせとして分析し、評価できるようにした」(山﨑氏)。各企業が求める人物像に合わせたコンピテンシーを構築できるほか、「感受性が低く、自主独立性とつながるとハラスメント気質」といった、リスク要因を検出することも可能だという。

 近年は、AI面接サービスが次々登場している。山﨑氏は「経験と勘に頼る面接官が作った質問をAIが話すだけのものは、チャットbotに過ぎない。性格、価値観、資質といった目に見えない部分を、いかにAIで可視化するかがポイントだ」と話す。

 SHaiNの導入者数は900社を突破し、受験者数は延べ15万人となった。刷新後は年間730社の導入、売り上げは今年度の2倍を想定している。対話力の強化や評価機能の向上によって、AIによる目に見えない資質の可視化に挑むタレントアンドアセスメント。続々登場するAI面接サービスの中で、一歩抜け出ることができるか、注目だ。

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