【今すぐ使えるプロンプト紹介】生成AIを使って「新規事業」や「投資」を計画する方法(2/2 ページ)
新規事業や投資計画などの案を考えたいけれど、社内に相談できる社員がいない……。そんなときは、生成AIをブレインストーミングの相手にしてアイデアを練ることができます。
【プロンプト紹介】投資計画の“壁打ち”をする方法
経営企画では、設備投資や新規プロジェクトへの投資判断においてNPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)などの財務指標を用いることが多いです。しかしながら、NPVやIRRといった評価手法に慣れていない方も多いかもしれません。
生成AIは条件を丁寧に入力すれば、専門用語を使わなくとも、できる限り投資計画について評価をしてくれます。
【プロンプト例】
# 指示文
私はコンサルティング会社の社長です。会社の #概要 は記載の通りです。
現在、事業を推進するために、下記の #投資計画 を立てました。この計画が妥当かどうか評価をしてください。
# 概要
年間の売上:1億円
年間の純利益:1000万円
従業員数:5人
事業内容:DX戦略を策定するコンサルティング事業
主な顧客:大手銀行の新規事業開発部、大手菓子会社のデジタルマーケティング部
# 投資計画
投資する内容:顧客企業同士が直接触れ合えるためのウェブコミュニティサイトの構築
投資費用:ウェブサイト構築費500万円、年間維持費100万円
プロンプト作成時のポイント(1) 現在の状況をできるだけ詳細に書こう
投資計画をするとき、投資する内容だけを書きがちです。しかしながら、生成AIは文脈を考慮して推論することが得意ですので、例えば自社の事業内容などの前提情報をできるだけ詳しく書きましょう。
プロンプト作成時のポイント(2)定量的な情報をできるだけ書き込もう
投資計画は、いくら投資をして、いくらもうかりそうか、という視点で評価がされます。プロンプトの中で、できるだけ定量的な情報(投資するに当たって見積もった費用や想定する売上情報)を与えましょう。
【実行結果のイメージ】
投資計画の評価
投資計画の妥当性を、財務面・戦略面・リスク面から評価します。
1. 財務面の評価
(1) 投資負担
投資総額:初期費用500万円 + 年間維持費100万円
現状の利益との比較:
貴社の年間純利益:1000万円
初期投資は純利益の50%
維持費は年間純利益の10%
評価:
この規模の投資は、短期間で利益を圧迫するリスクがあります。回収期間が長引くと、財務負担が増加するため、収益化のシナリオを明確にすることが重要です。
2. 戦略面の評価
(1) 事業のシナジー
DXコンサルティング事業において、顧客企業同士の情報交換の場を提供することは付加価値が高い。
顧客企業(大手銀行・菓子メーカー)は異業種であり、交流のニーズがどの程度あるか事前調査が必要。
(2) 収益モデル
ウェブコミュニティの収益化方法が不明。考えられるモデル:
月額課金制(顧客が利用料を払う)
スポンサー広告モデル(企業が広告掲載)
追加コンサル機会の創出(リード獲得)
評価:
コミュニティ自体は差別化要素になり得るが、収益化が明確でないと維持コストが負担になる。
3.リスク面の評価
(以下略)
今回のプロンプト例では、生成AIが「財務面」「戦略面」「リスク面」から評価をしてくれました。しかしながら、他にも考慮すべき視点はあるかもしれません。「財務面・戦略面・リスク面以外の視点からも評価をしてください」と受け答えの指示を出し、より多角的な視点で評価を依頼してみましょう。
著者プロフィール:宮崎学(みやざきまなぶ)
株式会社アリストル 代表取締役CEO
2011年東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学修了。新卒で電通に入社しデジタルマーケティングを専門に、保険、EC、消費者金融等の広告主に対して戦略立案、および広告運用の統括を担当。2015年、シンガポールに移住しIMJ-IP(現Spiral Ventures)に参画、ベンチャーキャピタリストとして活動開始。東南アジアで投資、バリューアップ、ファンドレイズを担当。2017年に帰国後、スパークス・グループで未来創生ファンドに参画し、世界中のAI/ロボティクスベンチャーへの投資業務に従事。2018年に株式会社アリストルを設立し代表取締役に就任、現在に至る。2021年4月より東京大学で学術専門職員、2025年4月より立命館大学で客員准教授も務める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Geminiを業務で使いこなす! Google Cloudが指南する「プロンプト入力」4つのポイントは?
GoogleのAI「Gemini」を業務で使いこなすには──? Google Cloudの担当者がレクチャーした。
野村が捨てた「資産3億円未満」を狙え SMBC×SBIが狙う“新興富裕層”の正体
SMBC×SBIが、「Olive Infinite(オリーブ インフィニット)」というデジタル富裕層向けサービスを開始した。野村證券をはじめとする大手証券会社が切った「1億〜3億円層」に商機があるという。
なぜ日本企業のDXは失敗続き? BCGが指摘する“ITを知らなすぎる”経営者の責任
DXの“押し付け”がハラスメントに!? クレディセゾンのデジタル人材育成を成功に導いた「三層構造」とは
昨今は人材獲得に苦戦する企業が多く、文系人材をリスキリングなどで育成し、デジタル人材に育てようとする動きが活発化しているが、クレディセゾンのCDOは「『トランスフォーメーションハラスメント』には要注意だ」と警鐘を鳴らす。「トランスフォーメーションハラスメント」とはどんなものなのか。DX時代の人材育成の本質とは何か。
日本人はなぜこれほどまでに「学ばない」のか 背景にある7つのバイアス
学びの習慣があまりにも低い日本の就業者の心理をより詳細に分析すると、学びから遠ざかる「ラーニング・バイアス(偏った意識)」が7つ明らかになった。日本人はなぜこれほどまでに「学ばない」のか。