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「AI活用は40点」──SMBCグループ、“厳しい自己評価”の裏で探り当てた「営業の核心」とは?AI時代の「企業変革」最前線(2/2 ページ)

これまでのAI活用は「40点」──三井住友フィナンシャルグループ 磯和啓雄CDIOはこう語る。同社がAI推進を「40点」と評価する真意や、営業分野でのAI活用の可能性について磯和氏に聞いた。

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お金そのものではなく、「信用」をどう可視化するかが鍵に

中出: SMBCグループは、AIで得た知見を外部にも開放しており、共創で広げている素晴らしい発想だと感じます。

磯和: AIを社会インフラと捉えているからです。営業支援AI、稟議支援AIなど、SMBCグループ内での成功例を外部企業にも提供し、業界全体の生産性向上に貢献したい。結果的に、それが金融全体の信頼性と利益にもつながると考えています。

中出: AIは使う人が増えるほど精度が上がるので、オープンな連携がAIの質を高め、社会全体の知を進化させることにもつながりますね。

磯和: これからは、お金そのものより「信用」をどう可視化するかが鍵になります。AIがステーブルコインや量子計算と結び付けば、信頼をリアルタイムに測定する世界が来るでしょう。AIは金融の構造そのものを変える可能性を持っています。

中出: AIは人間の脳の拡張であり、考える範囲を広げ、意思決定を支えるパートナーです。私たちはAIに意思を奪われるのではなく、AIと共に意思を磨く時代に生きている。SMBCグループの取り組みはまさにその象徴だと思います。

磯和: AIは効率化のためのツールではなく、人の創造性を支えるインフラ。人とAIが共進化し、社会全体の生産性と創造性を底上げする――それが、私たちの描くAXの未来です。

中出: スモールスタートから現場で起きた変化を観察し、次の改善につなげていく循環が文化として根付いたとき、AIは技術ではなく“働き方の前提”に変わるのだと感じました。金融業界に限らず、どの企業にも共通するヒントだと感じています。


左から三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO磯和 啓雄氏、テックタッチ取締役CPOの中出昌哉氏(提供:テックタッチ)

磯和 啓雄

三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO

1990年に入行後、法人業務・法務・経営企画・人事などに従事した後、リテールマーケティング部・IT戦略室(当時)を部長として立ち上げ。その後、決済企画部長、トランザクション・ビジネス本部長として法人決済領域の商品・営業企画を指揮。2022年デジタルソリューション本部長、2023年より執行役専務 グループCDIOとしてSMBCグループのデジタル推進をけん引。

中出昌哉

テックタッチ 取締役 CFO兼CPO

AI Central 事業責任者

テックタッチでは、「AI Central」(AI技術を活用した新規事業開発を担う専門組織)の事業責任者としてAI戦略をリード。プロダクト戦略責任者(CPO)および財務責任者(CFO)も担う。一般社団法人日本CPO協会の理事も務める。

東京大学経済学部、マサチューセッツ工科大学(MIT)MBA卒。野村證券株式会社にて投資銀行業務に従事し、素材エネルギーセクターのM&A案件を多数手がける。その後、カーライル・グループにて投資業に従事。ヘルスケア企業のバリューアップや、グローバル最大手の検査機器提供会社への投資等を担当。テックタッチには2021年3月、CFOとして入社。

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