「社用PC、買えません」が起きる!? 迫るPC値上げ、総務が今すぐできる3つの初期対応:「総務」から会社を変える(3/3 ページ)
AIの進化により、半導体の争奪戦が始まっているのはご承知の通り。半導体はあらゆる機器に使われており、当然、総務が調達する社用PCにもそれは当てはまる。PCの価格高騰や品薄が予測される中、悠長に構えている時間はない。今すぐとるべき初期対応3つを、順を追って解説する。
物価高騰時代における総務の備え
今回のPC価格高騰は、メモリやストレージの価格高騰という半導体市況の影響によるものだ。だが、視野を広げれば、円安、原材料費高騰、物流コスト増など、あらゆる物品がいつ値上がりしてもおかしくない時代に私たちは生きている。文具、オフィス家具、複合機のトナー、さらには電気代。こうした時代において、総務は「起きてから対応する」のではなく、日頃からどのような備えをすべきだろうか。
これまでの総務は「相見積もりを取って、1円でも安く買う」ことが正義とされがちだった。しかし、これからのインフレ時代において、過度な買いたたきは自分の首を絞める。サプライヤーもビジネスだ。利益の出ない取引先には、品薄時に商品を優先的に回してくれないだろう。適正な価格で取り引きし、サプライヤーに「大切なお客さまだ」と思わせること。これこそが、いざという時の優先供給権=バリュー(価値)を守ることにつながる。これを「SRM」(サプライヤー・リレーションシップ・マネジメント)と呼ぶ。
購買ルートを特定の1社に依存するのはリスクだ。もちろんボリュームディスカウントの観点では集中購買が有利だが、有事の際のBCP(事業継続計画)の観点では、「付き合いの深いメイン」と「独自のルートを持つサブ」の最低2社とはパイプを持っておくべきだ。例えば、大手商社だけでなく、独自の在庫を持つネット通販系や、中古市場に強い業者など、性質の異なるベンダーをリストアップしておく。
先ほどのレンタルの話にも通じるが、資産として「持つ」リスクを減らすことも検討すべきだ。サブスクリプション型の家具、PCのDaaS(Device as a Service)モデルなど、初期費用を抑え、状況に応じて柔軟に増減できる契約形態への移行は、価格変動リスクを平準化する効果がある。
総務は会社の「ショック・アブソーバー」であれ
本コラムを見て、「また仕事が増える」とため息をついた総務パーソンもいるかもしれない。その気持ちは痛いほど分かる。
しかし、こうした外的要因による衝撃(ショック)を、現場に届く前に吸収し、何事もなかったかのように社員に環境を提供する。それが、会社の「ショック・アブソーバー」(衝撃吸収装置)である総務の矜持でもある。
総務のプロフェッショナルとして、まずは在庫の確認とベンダーへの一本の連絡から始めてみよう。皆さんの迅速な行動が、4月の新入社員の笑顔を作るのだ。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長/戦略総務研究所 所長/(一社)FOSC 代表理事/(一社)IT顧問化協会 専務理事/(一社)日本オムニチャネル協会 フェロー
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSC代表理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、(一社)日本オムニチャネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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