「家具以外」に進出も頭打ち、業績不振の「ニトリ」に起死回生の策はあるのか?(3/3 ページ)
ニトリの成長が頭打ちになっている。近年は家電などにも進出したがなかなか大きな成果につながらず、直近の業績も芳しくない。今後、再び右肩上がりになるために必要なものは何だろうか。
「家具以外」に進出も、なかなか伸び悩む
もっとも、国内における家具需要の減少は以前から予想されていたことであり、ニトリは家具以外を強化する作戦を打ち出してきた。店内では食器類やカーテンなども販売している。だが、食器・日用品雑貨のジャンルでは「無印良品」や「3COINS」などの強力なライバルが存在する。ブランド力では無印良品の存在感が大きく、ニトリの雑貨は家具のついで買いや安さ目当てで買うものと位置付けられる。
家電も注力分野の一つだ。2009年度に小型家電を販売し始め、近年はプライベートブランドで大型家電も販売している。2022年には家電量販店大手エディオンと資本業務提携を結んでいるが、報道によると家電の年間売上高は300億円に留まり、主力商材にはなっていない。
筆者の所感では、ニトリの大型家電は相場より2〜3割安いものの、ネット販売や家電量販店次第では同じ価格帯で日本国内メーカーの同等製品を購入できるケースもあるため、あまり優位性はないように見える。
島忠の「ニトリ化」も悪手?
2021年に取得した島忠事業も業績は芳しくない。
島忠は家具屋とホームセンター機能を兼ね備えた店舗で、ニトリHDは商品の相互補完や、プライベートブランド開発の強化、物流機能の共同利用によるコスト削減などのシナジーを見込んでいた。2021年8月期末時点で61店舗を展開していたが、2025年9月末時点で52店舗と減少している。不採算店を閉鎖したほか、一部店舗をニトリに切り替えた。
ニトリHDはナショナルブランド商品を削減し、プライベートブランド商品を投入するなど、島忠の「ニトリ化」を進めてきた。しかし、島忠に来店する客はニトリの商品を求めていないため売り上げが伸びず、失敗した経緯がある。
島忠は高価格帯のカリモク家具を扱うなど、低価格志向のニトリとは価格帯が異なる。一般的に日用品・家具・家電など、異なるジャンルの商品を一店舗で販売する場合、コンセプトを明確にするためには価格帯をそろえなければならない。「ニトリ化」後の島忠は、両者の商品を混ぜたことでコンセプトがぼやけてしまい、購買を促せなかったと考えられる。
筆者は2カ月前に島忠ホームズの三郷中央店を訪れたが、ホームセンターらしい工具などの商品が少ない一方、ニトリの家電や雑貨、ニトリプライベートブランドのレトルトカレーも販売しており、何を打ち出したい店舗か明確に把握できなかった。島忠をどういう店にしたいのか、そのコンセプトを明確にする必要があるだろう。
国内のニトリは人口減少の影響を避けられない。海外事業を伸ばせるのか、または島忠の収益を改善できるのか、ニトリHDは厳しい岐路に立たされている。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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