牛丼チェーンが始めた「ラーメン代理戦争」 なぜ“廃業だらけの世界”に飛び込むのか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
松屋や吉野家など、なぜ牛丼チェーンはここ数年、こぞって「ラーメンシフト」を進めているのか。その理由は……。
外食チェーンが今後生き残るには
ライバルの吉野家も同様で、傘下の煮干ししょうゆラーメン「せたが屋」は、羽田空港第3ターミナルの江戸小路にあり、外国人観光客からも「日本を離れる前に食べたい」という口コミがある。しかも、既に米国ニューヨークに進出して2店舗を経営している実績もある。
われわれは、松屋や吉野家といった牛丼チェーンが何か新しい取り組みを始めたと聞くと「ファミリー層を狙っている」とか「若者層へ向けてアピールしている」と国内の消費者だけを考えてしまいがちだ。われわれは日本人で、日本の外食チェーンだから当然だ。
しかし、残念ながらこれからの日本は「縮む経済」にどう対応していくのかという「シュリンクコノミクス」を本気で考えなくてはいけないところまで来ている。「団塊世代」がどんどん高齢化して鬼籍に入り、国内消費や社会保障に大きな影響が出る中で、次の大きなインパクトは800万人に及ぶ「団塊ジュニア」がリタイアしたときだといわれている。
50代の筆者もあと10年もすれば、吉野家には足がなかなか向かわないし、二郎系ラーメンもキツくなる。そのとき、これらの外食マーケットを、人口ボリュームの小さい今の10〜30代だけで支えられるとは思えない。女性が牛丼やラーメンを男性に負けないくらいガツガツ食べるようになっても難しい。
そうなるとやはり「消費者」は外から呼ぶしかない。つまり、外国人観光客である。
今行われている牛丼チェーンの「ラーメン代理戦争」は、これから十数年先を見据えた、外国人観光客争奪の前哨戦なのかもしれない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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