「今やりたくない」が無限ループ…… 先延ばしの悪循環から抜け出す、最初の一歩とは(5/5 ページ)
嫌なことをやらなければならないとき、人はネガティブな感情を抱くが、タスクを先延ばしにすると罪悪感が加わり、その感情は余計に強くなる。ソルツゲバー氏が執筆した『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』より、最初の「嫌だ」を受け流し、やらなければならないタスクを実行する方法について解説する。
それでもやっぱり「先延ばし」したくなったら……
少し話が哲学的になったので、ここで実践に話を戻そう。ここからは「気付き」が、先延ばしグセの克服にどう役立つかを示す具体例を紹介する。
例えば、テスト勉強。重要な試験が近付いており、やる気は十分にある。ところが、机に向かおうとしたそのとき、不安や緊張、抵抗といった複雑な感情が湧き上がる。そして突然、メールをチェックしたり、テレビを見たり、部屋の掃除を始めたりと、勉強以外のことがしたくなってしまう。
残念ながら、あなたはその衝動に気付かず、すでに1時間が過ぎている。ようやく「テスト勉強を先延ばしにしていた」と気付くが、「まだ時間があるから大丈夫」と自分に言い訳をする。
しかし今回の「気付き」は鋭かった。あなたは、すぐに欲求を満たそうとする行動が、長期的な目標を犠牲にしていたことに気付いている。ネガティブな感情がテスト勉強を遠ざけ、結果として大切な1時間を浪費したことに気付いている。そして今、自分が「逃げたい」という衝動に駆られていることにも気付いている。
感情に振り回されるのではなく、それを受け入れよう。逃げたい衝動に反応せず、じっとしてしばらく過ごす。自分の中にあるネガティブな感情を観察し、ただその感覚をそのまま経験する。
そして30秒ほどたつ頃には、テストの重要性を思い出し「やり始めれば気分がよくなる」と感じる。そのまま机に向かい、勉強に取りかかる。5分もすれば、ネガティブな感情はほとんど消え、集中力とやる気が戻ってくる。勉強が進んでいることを実感し、テスト勉強へのモチベーションがさらに高まる。これこそ「気付き」が、先延ばしグセの克服に効果的であるという具体的な証拠だ。
この方法は、いつでも同じように効果を発揮する。まず、先延ばしに気付くこと。次に、ネガティブな感情を受け入れること。そして、感情に関係なく、とにかく行動しはじめること。これが先延ばしを防ぐための実践の全てである。
著者プロフィール:ニルス・ソルツゲバー(にるす・そるつげばー)
起業家・著述家・ブロガー。かつては「筋金入りの先延ばし屋」だったが、科学的根拠にもとづく方法を何百冊もの自己啓発書から徹底的に学び、ついにその悪習を克服。生産的で満ち足りた人生へと変わる。ポジティブ心理学、睡眠、瞑想に精通し、執筆や心理学研究、そして世界中を旅することをこよなく愛している。
翻訳者プロフィール:弓場隆(ゆみばたかし)
翻訳家。主な訳書に『一流の人に学ぶ自分の磨き方』(小社刊)、『人生を最大限に生きる』『うまくいっている人の考え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』(ダイヤモンド社)がある。
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