パスキーだけでは不十分? 証券各社が目指す「パスワードレス」への長い道のり(4/7 ページ)
証券各社が導入している「パスキー」だが、完全移行までの道のりは長そうだ……。
パスキーを入れても、セキュリティレベルは上がらない?
パスキーを導入した証券会社に、率直な疑問をぶつけてみた。パスキーを導入しても、従来のIDとパスワードでログインできる状態も続いている。これで本当にセキュリティは向上したのか。
実際、多くの証券会社がパスワード認証を残している。SBI証券はパスキーを設定した後も、従来のIDとパスワードによるログインが可能だ。ウェルスナビも同様で、浦野氏は現状をこう説明する。「当社もまだパスワードによるログインを許容している状態だ。パスワード認証が存在している限り、セキュリティレベルはパスワード認証のレベルに留まっている」
パスキーは、導入したユーザーにとっては強固なセキュリティを提供する。だが、従来のID・パスワード認証を残している限り、攻撃者はそちらを狙えば良い。
これに対し、楽天証券は異なるアプローチを取る。パスキーを登録すると、以降は原則としてIDとパスワードではログインできなくなる。
ただし、これはパスキーを設定したユーザーに限った話である。「パスキーを導入された方については、セキュリティのレベルは1段も2段も上がっている。一方で、使いたくないという人のセキュリティレベルは変わっていない」(平山氏)。パスキーを強制できない以上、この課題はどの証券会社にも共通している。
障害時の代替手段の問題もある。パスキーだけに絞った場合、システム障害が発生するとユーザーは何もできなくなる。「障害は必ず起こる。その時の対応をどうするかが肝だ」(平山氏)
証券取引には夜間の米国株取引など、限られた時間で取引を完了させなければならない場面がある。その瞬間にログインできなければ、ユーザーにとっては致命的な損失になりかねない。
浦野氏は「パスワードレスな世界を実現することで、初めてセキュリティレベルが向上する」と認めた上で、こう続けた。「ただ、AppleやGoogleのような大きなサービスであっても、パスキーだけに認証方法を限定するというリスクはとりづらい状況だ」
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