ファミマのクレーンゲーム戦略をどう見るか 「あそべるコンビニ」がそっと映し出す、厳しい現実(1/4 ページ)
ファミリーマートが進めるクレーンゲーム設置は、「あそべるコンビニ」という新しさで注目を集める。一方で、その試みは差別化が難しくなったコンビニ業界の厳しい競争環境も静かに映し出している。
本連載について:
都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希氏が、現代のビジネスシーンを深く掘り下げる。都市再開発の成功例や課題、企業戦略の変化、消費者文化の進化に注目し、表面的な現象だけでなく、その背後にある背景を探る。日々変化する消費トレンドを通じて、社会や企業の動きに迫り、これからのビジネス環境や戦略について考えさせられる視点を提供していく。
ファミリーマートがクレーンゲームなどのゲーム機設置を全国5000店舗まで広げる方針を打ち出した。国内店舗のおよそ3分の1に相当する規模だ。
一見、奇抜な施策に映るが、その裏にはコンビニ市場をめぐる「イマ」がある。筆者なりの懸念点も交えながら解説したい。
クレーンゲーム設置の理由は?
ファミマが掲げるのは「あそべるコンビニ」。
従来の“衣・食・住”に“遊”を掛け合わせ、店舗を「体験の場」としてアップデートしていく、と説明している。背景にあるのは、インバウンド需要の回復と、消費の「コト化」。コンビニはもはや「モノを買う」だけの場所ではなく、「推し活」「体験」「参加」といった行動が重視されるようになった、という認識をファミマ側は持っている。
その文脈から見れば、クレーンゲームの設置は分かりやすい。ゲームは単なる目的ではなく、それを体験する過程まで含めて楽しめる。
また、現在一部ファミマ店舗に設置されている「ファミマクレーンゲーム」は1回100円で、景品はサンリオやちいかわなど人気IPを用意する。ここまで来ると、いよいよゲームセンター的な様相も帯びてくる。コンビニに「体験価値」を付け加えるのだ。「場所」としてのコンビニにぴったりであろう。
こうした積極的な理由と同時に、クレーンゲームの設置は「不採算スペースの撤去」という意味もあるはずだ。
ファミマはコロナ禍以降、イートインスペースや書籍売り場の縮小を進め、空いたスペースを「来店のきっかけづくり」に回している。特にイートインスペースについては、その多くをファミマが現在力を入れている「コンビニエンスウェア」売り場に変えている。
さらに、レジ上部に設置された「ファミリーマートビジョン」では、企業の広告を流していて、徹底した「空間の収益化」が目指されている。置いても売れない商品や、利益に直結しないスペースを「金になるスペース」へと変えているわけだ。
その意味で、クレーンゲームの設置は理にかなっている。
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