ファミマが“衣料品専門店”を初出店 コンビニの他業種進出で小売はどう変わる?(1/5 ページ)
ファミマが東京・浜松町に誕生したブルーフロント芝浦に、衣料品専門店をオープンした。なぜ衣料品に力を入れるのか。そこにはコンビニ業界が抱えるある課題があった。
本連載について:
都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希氏が、現代のビジネスシーンを深く掘り下げる。都市再開発の成功例や課題、企業戦略の変化、消費者文化の進化に注目し、表面的な現象だけでなく、その背景を探る。日々変化する消費トレンドを通じて、社会や企業の動きに迫り、これからのビジネス環境や戦略について考えさせられる視点を提供していく。
9月1日、東京・浜松町に誕生した「ブルーフロント芝浦」。野村不動産による大型開発で、オフィスビルと商業施設が入居する。その商業施設内に、ファミリーマート(以下、ファミマ)の衣料品専門店がオープンした。
ファミマは近年衣料品の開発・販売に力を入れており、この店舗が初めての専門店となる。
なぜ、ファミマは衣料品に注力するのか。本稿では、実際に現地を訪れ、考察した結果を紹介したい。
ファミマの衣料品の「ショールーム」
ブルーフロント芝浦は、オフィス・商業施設・ホテルが入る複合施設だ。浜松町駅から徒歩でアクセスでき、駅前から続くアーケードを抜けると、立派な建物が目に飛び込んでくる。
ファミマの衣料品専門店が入居するのは、このビルの3階だ。オフィスフロアとの兼ね合いから、日曜と祝日は休業となっている。同じフロアには通常のファミマと、この衣料品専門店が並んで入居している。
ファミマの衣料品専門店は広々とした空間が印象的で、店内には複数の棚が置かれている。靴下やシャツ、ハンカチなど、アイテムごとに棚が分けられており、売り場の密度は低い。その様子は、まるでファミマの衣料品を展示するショールームのようだ。
もちろん、商品の購入は可能だ。売り場には無人レジがぽつんと置かれており、そこを通して決済する仕組みとなっている。
これにより、無人での店舗展開が可能となり、コストを抑えながら衣料品を宣伝できるメリットがある。
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