「残クレアルファード」を笑えない日が来る? スマホに住宅、今後も残クレが広がっていきそうな納得の理由(3/3 ページ)
「残クレアルファード」がネットミーム化して揶揄されたが、物価高の影響で今後も残クレの対象がどんどんと増えていきそうだ。
住宅ローンにも「残クレ」が登場
残クレは不動産にも及んでおり、国は近年、残価設定型住宅ローンの普及を促している。東京23区内における新築マンションの平均価格が1億円を超えるなど、近年では不動産の取得が難しくなった。そこで住宅金融支援機構が金融機関向けに保険を提供し、残クレ住宅ローンの設定を促す格好だ。
残クレ住宅は他の残クレと同じく、残価が設定されるため、月々の返済額を抑えられる。残価を設定するのはJTI(移住・住みかえ支援機構)など。返済を続けて住宅ローンの残高と残価が一致する「残価設定月」になった場合「(1)返済額軽減オプション(新型リバースモーゲージ)」か「(2)買取オプション」、もしくは所有権を取得するという3つの選択肢がある。
(1)では、残価設定月以降、ローンが新型リバースモーゲージに転換される。それ以前よりも返済額が低くなり、例えば月額11万円超だった支払いは、その3〜4割程度に縮小される。(2)は残価設定月以降にいつでも行使できるもので、土地・建物を住宅ローン残高と同じ金額でJTIに買い取ってもらうオプションだ。住んでいる家を手放して賃貸住宅に移る場合は(2)を選択する。
(1)と(2)は最終的に住宅を手放すことになるため、親族に相続させることはできないが、いずれのオプションも行使しない場合は、残価分のローンを組んで完済するか、自己資金で住宅を一括購入して所有権が得られる。
今後も残クレの対象は増えていく?
残クレは月々の支払額を抑えられる一方、残価分を支払わなければ所有権を取得できない。自動車の場合、3〜5年で手放すつもりであれば選択肢となり得るが、期限後は新たな車を借り入れる必要がある。所詮は定期のレンタルと変わらない。
近年、乗用車の購入では残クレを選択する層が増えている。日本自動車工業会によると、2010年では72%が現金一括で支払い、オートローンが25%、残クレはわずか3%に過ぎなかった。だが、2023年では現金一括が58%、オートローンは17%まで減少、残クレが18%まで増加した。都市部の住民や高齢者は現金一括が主だが、若年層はオートローンを選択している。
つまり、所得の低い層を中心に残クレの利用が広がっていることが分かる。スマホや住宅にまで広がっているのは、物価高による購買力の低下を背景に、利用者の増加が見込まれるためと考えられる。物価高は進行中だが、政府の出費は医療・福祉に偏っており、庶民の可処分所得は増えていない。その上で積極財政による円安・インフレは収まりそうになく、残クレの対象商品と利用者は今後も増えていくかもしれない。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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