「カスハラ」は個人の問題ではない 約8万人を分析して分かった業種の壁
パソナセーフティネットは労働者を対象とした大規模調査データを用いて、カスタマーハラスメントの経験率と心理的ストレス反応との関連について、業種別に分析した。
2026年10月、事業主にカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策を義務付ける「改正労働施策総合推進法」の施行が予定され、カスハラは企業にとってますます避けて通れない課題になっている。
メンタルヘルス事業を展開するパソナセーフティネット(東京都千代田区)の調査によると、国内でカスハラを経験した労働者は全体の1割に満たないものの、その「少数派」が抱える心理的負荷は、他の労働者と比べて大きいことが分かった。
カスハラ経験は「少数派」、それでも軽視できない理由
調査結果から、カスハラ経験率は7.9%だった。また、カスハラを経験した労働者は、経験のない労働者と比べて心理的ストレス反応が強い傾向があることも分かった。
業種別に見ると、カスハラの経験率には明確な差があった。
最多は医療・福祉(13.1%)で、農業、林業(12.0%)、卸売・小売業(11.4%)と続く。医療・福祉の結果は業界全体の7.9%より5.2ポイント高かった。
医療・福祉、卸売・小売業、運輸業・郵便業、宿泊・飲食サービス業といった、対人業務が多く、不特定多数を顧客とする業種では、経験率が相対的に高い傾向がある。
さらに、業種ごとにカスハラの経験の有無に分けて、心理的ストレス反応の強さを比較。その結果、どの業種においてもカスハラを経験した労働者の方が、心理的ストレス反応が強いことが分かった。
パソナセーフティネットは「カスハラが一部の職場や個人の問題ではなく、業種構造や業務特性に根ざした職場全体の課題であることを示唆している」とコメントしている。
調査は2025年5〜10月に同社が提供した「(新)職業性ストレス簡易調査票」によるストレスチェックを受検した251団体・7万8513人を対象に実施した。
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