ローソンの車中泊は、単なる「場所貸し」ではない 見落とされがちな体験価値とは:グッドパッチとUXの話をしようか(3/4 ページ)
ローソンが実施している「車中泊」サービス、これは単なる「空いている場所を貸す」というビジネスにはとどまらない価値がある。利用者はどのような「価値」を見いだしているのか。
普段通りに「コンビニを営んでいること」自体が価値になる
興味深いのは、コンビニでの車中泊という仕組みが特別な設備投資や、新しいオペレーションによって成り立っているわけではない点です。コンビニ側は当たり前に営業しているだけなのに、そこに価値とビジネスチャンスが生まれていたのです。
この体験が結果として、店舗における滞在時間や接触期間を自然に増やしている点も見逃せません。車中泊を利用する人は、チェックイン前後や夜間・早朝に、飲み物や軽食を購入する可能性が高いはず。新しい売り場を作らずとも、客単価がじわりと積み上がっていく構造が生まれています。
実際、実証実験を開始した1週目の予約率は100%近くを記録していました。2週目以降は落ち着いたものの、週末は高い予約率を維持していたようです(参照:ITmedia ビジネスオンライン「ローソンの「2500〜3000円」車中泊、結果は?」)。車中泊サービスがなければローソンに立ち寄らなかったかもしれない旅行者を呼び込めていることが分かります。
サービスデザインにおいて重要なのは、個別の機能や施策を切り出して考えるのではなく、サービス全体が無理なく回り続けるかどうかという視点です。ユーザー体験だけでなく、現場の負担、運用の複雑さ、コスト構造といったビジネス的な観点も含めて、持続可能な仕組みになっているかが問われます。
その観点でいうと今回の車中泊は、「何かを付け足した」サービスではなく、普段通りに営んでいること自体が価値として生まれ、ビジネス的なリターンを伴う、サービスデザインの「全体性」がよく表れた好例だといえるでしょう。
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