訪日客は実は「これから減る」でも……JTB「10年で営業利益5倍」強気戦略のワケ(2/2 ページ)
JTBは10カ年の長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」を発表した。同社にとって初となる長期ビジョン策定の背景には、どのような問題意識があったのか。
「AIなしには語れない」JTBが進めるデータ起点の価値創出
ビジョン達成に向けて注力する4つのテーマが「グローバル」「ビジネスモデル」「情報・データ」「カルチャー」だ。
中でも「情報・データ」について山北氏は、「AIなしには語れない」と話す。
同社は現在、CoE(Center of Excellence、センターオブエクセレンス)でAI人材を集中的に育成。AIを用いた情報基盤を構築し、独自の会員サービス「トラベルメンバー」の約2000万人の会員データなどを分析し、顧客のインサイトを導き出す取り組みを進めている。
また、観光産業に関わる業務は人に依存することが多く、暗黙知になりがちだが、これを可能な限り形式知にすべく、仕組み化に取り組んでいく。
データ活用や仕組み化と並び、同社はIP活用にも着目。取り組みの一環として、1月14日に、日本のポップカルチャーをけん引するアソビシステムと合弁会社「アソビJTB株式会社」を設立した。
日本発のポップカルチャー、その中でも“KAWAII”カルチャーと地域資源を融合し、訪日客などに向けて新たな体験価値を創出することが狙いだ。
「当社は自社でIPを持つのではなく、IPを持った事業者と連携して新しいIP活用の形をつくることを目指していく」(山北氏)
IP活用もまた、人の移動に依存しない新たな交流価値を生み出すための一手と位置付けられている。
初の10カ年長期ビジョン策定、そのワケは?
今回のような長期ビジョンの策定はJTBグループにとって初の試みとなる。
10年スパンでのビジョンを策定した背景を山北氏は「従来の、数年先までの中期的な計画だけでは、現在の延長線上で考えてしまうことが多い。10年後、大きく変わる社会を踏まえて、今どんなアクションが必要かを定義することが、JTBにとっても観光産業にとっても必要だと考えた」と話す。
長期ビジョンを定めた上で、3カ年の中期計画を策定する。それによって、従来のような対処療法的な改善計画ではなく、未来の「ありたい姿」から逆算した考え方に、思考を変えていく。
人流に依存してきた観光産業は、いま転換点に立っている。
2035年を見据えたJTBの長期ビジョンは、観光産業そのものの変革に向けた同社の覚悟の表れと言えそうだ。
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