なぜ「最強組織」から闇堕ち社員が続出するのか プルデンシャル、キーエンス、メガバンクの共通点:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「最強」と称される名門企業で、不正や犯罪に手を染める「闇堕ち社員」が相次いでいる。背景には特権意識の肥大化や員数主義、日本の将来不安、そして「最強組織に選ばれること」を過度に重視する日本型エリート観がありそうだ。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
最強の営業集団、高給取りのエリート軍団……そんなふうに持ち上げられてきた組織が、相次いで「闇堕ち社員」を生み出している。
まず、今話題になっているのはプルデンシャル生命だ。生命保険業界で「最強のプロ営業集団」などと呼ばれてきた同社のライフプランナーは、ゴリゴリの営業スタイルと強気な姿勢から「プルゴリ」などと揶揄(やゆ)されるほどだった。
だが、そのプルゴリの中でかなりの人数の社員が闇堕ちしていたことが、社内調査によって明らかになった。なんと社員・元社員あわせて約100人が、約500人の顧客に対して金銭をだまし取ったり、お金を借りて返さなかったりしていたのだ。被害総額は約31億4000万円に上るという。
また、営業利益率が驚異の55%超で平均年収が2000万円オーバーということから、やはり「最強」との呼び声が高い制御機器大手キーエンスでも2025年、「闇堕ち社員」が出て話題になった。社員6人が女性に性的暴行をした疑いで、相次いで逮捕・起訴されたのである(現在は全員退社)。罪状は2事件で、いずれも酒に酔って眠っていた女性に暴行を加えたという。
17年連続で「企業のメインバンク」トップシェアに輝き、「最強メガバンク」と称されることもある三菱UFJ銀行も同様だ。2025年、行員が100人余りの顧客が利用する貸金庫から合計約17億〜18億円分を盗んだという衝撃的な事件が発覚したほか、新潟支店でも行員が顧客に架空の金融商品を提案し、偽の証書を作成して3980万円あまりを詐取したことが分かっている。
「たまたま似たような事件が続いただけでしょ。どんな世界にも道を踏み外す者はいるじゃん」と冷ややかな反応の方も多いだろうが、これだけではない。近年、その世界では誰もが一目置くような組織に属する人々が、ダイナミックな不正や犯罪に手を染めてしまうケースが多発しているのだ。
例えば2020年10月には、第一生命保険で社員が顧客から計19億円を詐取。翌2021年1月には、三井住友信託銀行の行員が顧客から計約3億7000万円を詐取、同年4月には、日本郵便の元郵便局長が顧客から計10億円を詐取した。同年12月には、ソニー生命保険でも約170億円の詐取が明らかになった。さらに、2022年には貨幣処理機大手のグローリーで経理担当社員が約21億円を横領していた。
なぜ、このような「最強組織」から続々と「闇堕ち社員」が生まれているのか。
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