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「収入頭打ち、コスト青天井」 病院倒産が1.7倍に急増した背景

病院・クリニックの倒産が3年連続で増加し、2025年は41件に達した。負債253億円超の大半を中堅病院が占める。診療報酬が物価高や人件費上昇に追い付かない中、地域医療の基盤が揺らいでいる。

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 東京商工リサーチが実施した「病院・クリニック(歯科医院を除く)」の倒産動向調査によると、2025年の倒産件数は累計41件(前年比5.1%増)となり、3年連続で前年を上回った。

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東京商工リサーチは、2025年「病院・クリニック(歯科医院を除く)」の倒産動向調査を行った(提供:AC)

負債総額は253億円超 中堅病院の行き詰まりが顕在化

 負債総額は253億1900万円(同12.1%増)で、コロナ禍の2020年を底に5年連続で前年を上回った。負債額別では「1億円以上」が31件(同29.1%増)と全体の75.6%を占め、地域医療の中核を担う中堅規模病院の経営悪化が目立っている。

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病院・クリニックの倒産 年次推移(出所:東京商工リサーチ)

「病院」が1.7倍に急増 従業員規模でも中堅層が増加

 業態別では、ベッド数20床以上の「病院」が12件(同71.4%増)と前年から1.7倍に増加し、2010年以来15年ぶりに10件を超えた。

 従業員数別では、「50人以上300人未満」が10件(前年5件)、「20人以上50人未満」が5件(同2件)と、いずれも倍増し、前年を上回った。

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中堅規模の病院で負債が膨らむ傾向が強まっている(提供:AC)

人手不足と物価高が直撃 既に7割が赤字

 医療機関は、理事長や院長の高齢化、医師・看護師不足、医療設備の老朽化といった構造的課題を抱えている。これに加え、光熱費や薬品、消耗品などの物価上昇、人材確保に伴う人件費の増加が重なり、病院経営全体を圧迫している。

 厚生労働省が公表した「第25回医療経済実態調査」によると、一般病院の約7割、クリニックの約4割がすでに赤字経営に陥っている。

「収入頭打ち、コスト青天井」倒産増は不可避か

 東京商工リサーチは「医療機関の主な収入源である診療報酬が、物価高騰や賃上げに追い付いていないことが大きな要因だ。医療機関を取り巻く環境は厳しく、収入は頭打ち、コストは青天井の状況にある。こうした環境下では、医療機関の倒産増加は避けられないだろう」と指摘している。

 本調査は、日本標準産業分類の「病院」「一般診療所」を対象に、負債1000万円以上の倒産を集計・分析した(歯科医院を除く)。

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