“良かれと思った施策”が裏目に バブルを生き延びた「べっぷ駅市場」で何が起きたのか?(6/6 ページ)
半世紀以上に渡って地元住民や観光客に親しまれ、昭和の面影を残す「べっぷ駅市場」。日本一長い高架下商店街はどのようにして生まれたのか、なぜ生まれ変わらなければならなかったのか。
生き残るため選んだ「商店街」としての再生
空き店舗が増えつつあったべっぷ駅市場だが、いくつかの老舗店舗は以前と変わらずに営業を続け、コロナ禍からの復活を静かに待ち続けた。こうした中、昭和時代のままほとんど改装されていない老舗が並ぶべっぷ駅市場は、「レトロ映えスポット」としても話題を呼ぶように。2022年9月からは新たな企画として「線路シタの夜市」が開催されるようになり、有名人を招いたイベントが開催されるなど、メディアに登場する機会も増えた。
さらに、2018〜2024年にかけて駅市場に隣接・近接する区画に複数の大型分譲マンションが相次いで完成。市街地の北進により減りつつあった足元商圏人口も増加に転じた。こうした中で持ち上がったのが、今回の「べっぷ駅市場の再開発」だ。
2021年の耐震化工事では一部の柱を補強するにとどまりレトロな内装はそのまま維持されたが、今回の再開発では老朽化した内外装を全て撤去することが決まった。そこで問題となったのが「商店街をどういったかたちで再生するか」である。
再開発の舞台は空き店舗が目立ちつつあった古めかしい商店街。すでに隣接街区は駐車場化されてしまっていた。そのため、一度全ての内外装を撤去するとなると、「時代遅れ」ともいえる昭和の商店街スタイルではなく、一般的な駅ビルのような内装へと改めることや、駅チカのオフィス・駐車場などに転用することも可能だった。
駅寄りの街区「えきマチ1丁目別府B-Passage」の館内。この街区は一般的な駅ビルと同様の内装だ。駅市場もこのように「昔ながらの商店街」から「近代的な駅ビル風」の内装に改めることも可能だったが……(写真:若杉優貴)
残った商店街の店舗とべっぷ駅市場を管理・運営するJR九州ビルマネジメントが協議を重ねた末に選んだコンセプトは、「べっぷの顔に出会える生活商店街」としての再生。オフィスや住宅などのリノベーションを得意とする東京の設計事務所「ブルースタジオ」とタッグを組み、駅市場を「貴重な生活文化」と位置付け、あくまでも駅ビルではなく「商店街」として集客することでの復活を選んだ。
さらに「駅からの動線上に店舗の顔を開く」ことを標榜(ひょうぼう)。駐車場の増設で失われた導線を復活させ、駅からの回遊性を向上させることを目指した。後編では、昭和レトロな高架下商店街は果たしてどのようにリニューアルされたのか、そしてどのようにして新たな集客を目指すのかを解説する。
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