“良かれと思った施策”が裏目に バブルを生き延びた「べっぷ駅市場」で何が起きたのか?(5/6 ページ)
半世紀以上に渡って地元住民や観光客に親しまれ、昭和の面影を残す「べっぷ駅市場」。日本一長い高架下商店街はどのようにして生まれたのか、なぜ生まれ変わらなければならなかったのか。
「駅の商店街」を直撃したコロナ禍
JR別府駅は言うまでもなく温泉街の最寄り駅であり、大分県第二の都市の中心駅でもある。
JR別府駅には全ての旅客列車が停車し、定期列車の始発は午前5時台・終電は午前0時台。日中は上り・下りともに1時間当たり最長7両編成の特急列車2〜3本、最長4両編成の普通列車2〜3本程度の本数が確保されている。1日の乗降客数は約1万2000人で、これは大分県で2位、九州では29位(2024年時点)だ。このほか、駅前・駅西口を拠点として別府市内各地を結ぶ路線バスも、午前6時から午後11時台まで数分おきに運行している。
さらに、駅周辺には大型商業施設や飲食店、宿泊施設、分譲マンションなどが密集。県都・大分駅まで10分ほどであるため通勤通学需要も多く、駅併設の商業施設は安泰だと思われるかもしれない。
しかし、九州では大きな駅であるといえる乗降客数1万2000人は、首都圏のJR駅に例えると「ひたち野うしく(常磐線)」「厚木(相模線)」「南多摩(南武線)」「西立川(青梅線)」、関西圏のJR駅に例えると「山崎(JR京都線・東海道線)」「北伊丹(JR宝塚線・福知山線)」「京田辺(学研都市線・片町線)」あたりのローカル駅と同程度。大都市圏と環境は異なるものの「駅の商店街がにぎわいを維持できるかどうか?」と言われると微妙なラインであることが分かるだろう。
こうした中、2020年にはコロナ禍により公共交通の利用客自体が大幅に減少してしまう。
観光地でもある別府にとってコロナ禍の影響は深刻で、別府駅では高架下全体で空き店舗が増加。飲食業が不振となる中、駅市場とは反対側の北側「えきマチ1丁目別府B-Passage」にあったフードコートを全て医療機関に転用するなどして埋めていったが、南側の「えきマチ1丁目別府BIS南館」では長引くコロナ禍で、新規出店したもののほとんど営業できずに閉店したテナントもあった。
特に駅市場では同時期の2021年に耐震補強のための一時休業したこともあり、昭和時代から営業していた店舗がいくつか閉店。コロナ禍の影響が大きい駅市場から郊外エリアへと移転した店舗もあったため、さらに空き店舗が目立つようになってしまった。
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