イマドキの駅ビルにはしない 別府の商店街が、あえて“昔ながら”を貫いたリニューアルの全貌:後編(3/3 ページ)
べっぷ駅市場のリニューアルに際し、JR九州グループは「生活商店街としての再生」を目指した。令和の今では“時代遅れ”とも受け取られかねない「昔ながらの高架下商店街」は、いかにして復活を目指すのか。
イベント区画を点在させ「いつ来ても新鮮な商店街」に
べっぷ駅市場の4つ目の特徴が、さまざまな場所に期間限定ショップ・イベント向け区画を点在させたことだ。新たに設けられた新通りには、カフェなどの常設店舗のほか、「チャレンジショップ」「イベントショップ」用の区画を導入。キッチンカーの駐車スペースも設けている。
また、これまでのべっぷ駅市場(本通り)にもシェアキッチン付きのマルチスペースや広場を設け、街区内のさまざまな場所で期間限定店舗の出店やイベントを開催できる環境を整えた。これにより、なじみの老舗に加えて、いつ来ても新鮮なショップという魅力が加わった。
新通りは1期開業時点では一部街区(駅と反対側)しか完成しておらず、駅側からの導線もつながっていない。だが、1期開業直後の2025年10月から年末にかけて、大分県内の人気スイーツ店やラーメン店などが相次ぎ出店。市場内に以前出店していたベーカリーの移動販売車もほぼ毎日やってくるため、早くも多くの客でにぎわいを見せていた。
2026年夏には駅市場の入口となるJR別府駅寄りの部分が延長開業する予定で、この勢いに乗るかたちで「駅市場・新通り入口の顔」としてふさわしい店舗の誘致や、イベント向け区画を生かした催事の開催も期待される。
昭和時代に全国各地へと広がった高架下商店街。その一方で、近年は老朽化や耐震問題、鉄道利用客の減少、競合店の増加、商業の郊外化、人口減少などさまざまな理由で姿を消すものや、残っても大きく姿を変えていくものも少なくない。そうした中、JR別府駅の高架下商店街は地方都市でありながらもさまざまな工夫を凝らし、攻めの姿勢で「古くて新しい商店街」へと生まれ変わりつつある。
「べっぷ駅市場を未来に繋ぐプロジェクト」はまだ道半ばであり、全面開業はしばらく先だ。厳しい環境の中、果たして地元住民・観光客の双方が楽しめるような店づくりを進め、高架下再生のモデルケースの一つとなれるのか。全面完成後の変貌に注目が集まっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
大量閉店のヴィレヴァン かつての“サブカル王者”が失速した「3つの誤算」とは?
かつて「唯一無二のサブカル系チェーン店」として知られ、全国各地に店舗網を拡大していた個性的な雑貨店・書店「ヴィレッジヴァンガード」の業績が振るわない。今年7月には2026年5月期以降に全店舗の約3割にあたる81店舗の閉店を検討していることを発表、店舗網は最盛期の半分以下となる約200店舗にまで縮小する見込みだ。
ヴィレヴァン復活のカギは? “個性”を手放す勇気か、それとも磨き直す覚悟か
苦境に立たされるヴィレヴァン。大量閉店の先に光はあるのか。後編では、ヴィレヴァン復活へのカギはどこにあるのかを探りたい。
大阪のオフィス街・淀屋橋が一大観光地に? 展望施設が生む“人流と価値”の方程式
大阪のオフィス街・淀屋橋が、大変貌を遂げつつある。2025年夏、御堂筋沿いに新たに開業した大型再開発ビル「淀屋橋ステーションワン」。最上階に設けられた新たな展望施設は、街の滞在価値を高め、ビジネス街の“観光資産化”を後押しする可能性を秘めている。
「買い物だけでは生き残れない」 足湯もオフィスも抱え込む、地方百貨店の生存戦略
前・中・後編3回にわたって、人口20万人以下の地方小都市(東京・埼玉・大阪・兵庫など大都市圏除く)に立地し、現在も営業を続ける百貨店20店舗の特徴を調査し、それらの営業努力の様子を見ていく。後編では、地方中小都市の百貨店の「モノを売る」以外の機能に注目していこう。


