イマドキの駅ビルにはしない 別府の商店街が、あえて“昔ながら”を貫いたリニューアルの全貌:後編(2/3 ページ)
べっぷ駅市場のリニューアルに際し、JR九州グループは「生活商店街としての再生」を目指した。令和の今では“時代遅れ”とも受け取られかねない「昔ながらの高架下商店街」は、いかにして復活を目指すのか。
リニューアルで喜ばれた意外なポイント
実際にべっぷ駅市場を訪れていた人に「今回のリニューアルで感じたこと」を尋ねた。意外にも多かったのが「トイレなど水回りがきれいになって良かった」という声だ。
リニューアル前の駅市場にもトイレと手洗い場、そして空き店舗を活用したイートインが設けられていた。しかし古さは否めず、薄暗い雰囲気を嫌ってか、改札寄りの駅ビル業態のトイレまで行く人も少なくない印象だった。食品を多く扱うべっぷ駅市場ゆえ、トイレなど水回りの清潔さは直接の売り上げにもつながる要素の一つだ。
以前はイートインを利用する客も少なく、単に休憩のために座っている人が多い印象だった。リニューアル後はその場で手を洗い、きれいな環境で食事できることもあって、観光客・地元客を問わず、市場内で購入した商品をその場で食べる人の姿が複数見られた。
回遊性を増すため、あえて増築
ここまではべっぷ駅市場のリニューアルされた街区を見てきた。しかし競合店も増えた現代では、生活商店街の維持は来客数の増加なしには難しい。
特に、べっぷ駅市場では、かつて駅改札側にあった核店舗・ダイエー別府店(2012年閉店)を回遊して買い物する人が多くみられた。だが、2013年に核店舗がマルミヤストアに変わったことに合わせて、マイカー客の利便性を図るべく高架下に駐車場を増設。これにより、駅市場は駅側の街区(スーパー)と分断されてしまい、徒歩客の回遊性が低下していた。そのため今回のリニューアルでは設備の一新のみならず、駅からの動線上に店舗の顔を開くべく、駅市場にまで人の流れを生み出すことが重点目標となった。
べっぷ駅市場の3つ目の特徴が「新たな顧客を呼び込む導線づくり」を目指したこと。そこでべっぷ駅市場が採ったのは、空き店舗が増えつつある中、あえて駐車場を減らし、人が歩きやすい導線を再構築すべく店舗を増築するという攻めの姿勢だった。
具体的には、べっぷ駅市場をかつてダイエーの売り場だった高架下駐車場の一部や隣接する立体駐車場の1階を使用するかたちで店舗を増築。駐車場を減らして駅側の街区「えきマチ1丁目別府BIS南館」の観光案内所やバス乗り場の前まで商店街を延長することで、人が歩きやすい導線を生んだ。そして、これまでのべっぷ駅市場を「べっぷ駅市場・本通り」、増築された部分を「べっぷ駅市場・新通り」と称して、新たな店舗の誘致を目指した。
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