“形だけ”の「自治体システム標準化」になりつつある今、オープンソース化は救世主となるか?(2/5 ページ)
自治体システムのオープンソース化は、現場にどのような影響を与えるのか。CIO補佐官がメリットと課題を解説する。
「公開すれば解決」ではない――OSSが抱える構造的リスク
一方、OSS活用のリスクもあります。
その一つはOSSそのものの管理体制の脆弱さです。
OSSの開発やソースコードの改修、管理などの作業は世界中のエンジニアが担っていますが、その立場はまちまちです。ボランティアで作業に従事する人もいれば、OSSの普及や販売、サポートにビジネスとして携わる人もいます。別の企業から派遣されて、そのOSSに関わる人もいます。
しかし、エンジニアの引退や後継者不足により、少人数でOSSの運営や管理を続けざるを得ないケースも少なくありません。
例えば最近では、XMLデータを処理するライブラリであるlibxml2を長年ほぼ一人で管理してきたメンバーが退いたというニュースがありました。libxml2はChromeやSafariなど主要なWebブラウザにも組み込まれている重要なソフトウェアであり、この出来事には私自身も強い衝撃を受けました。
また、資金の面でもリスクはあります。OSSもさまざまで、企業から多額の寄付を集めているOSSもあれば、資金難でプロジェクトが放棄されるOSSもあります。
ソースコードが開示されていることにより、対価を払うことなくOSSが利用できてしまうので、いわゆるフリーライド(ただ乗り)されたまま、収益が得られないという事象もよく見聞きします。
ソースコード公開は“重複投資”を本当に減らすのか?
このような背景がある中、2025年11月25日に実施された参議院総務委員会において、自治体システムのオープンソース化についての質問がありました。参議院インターネット審議中継で、その様子が確認できます。
議員からの質問の趣旨は以下のものでした。
- 総務省の地方財政状況調査によれば、地方自治体のシステム関連費用は年間でおよそ6620億円にも上り、全国1700以上ある自治体が似たようなシステムをバラバラに開発をしている。
- この中にはコードを共有することができれば削減できるような「重複投資」がたくさん含まれていると考えている。自治体がコードをオープンソース化し、自治体で共有することによって重複投資を削減しつつ、高額なベンダー製システムにロックインされることを防ぐことが可能。
- 自治体が保有するプログラムの著作権は地方自治法上の「公有財産」や「行政財産」に該当しないため、制約なくオープンソースとして公開できるか、総務省の見解を問う。
この質問の本質は、自治体が保有するプログラム(ソースコード)の著作権が「公有財産」に該当するかどうかを確認するものに過ぎず、それ自体は重要ではありません。実際、オープンソース化の有無にかかわらず、私が高知県庁のCIO補佐官として在職していた2010年当時、県が著作権を持つプログラムを他団体に提供していました。
筆者の関心は、質問の前段にあります。
「自治体システムはオープンソースにふさわしいのか」と「自治体システムはオープンソースで成り立つのか」という点です。
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