連載
“形だけ”の「自治体システム標準化」になりつつある今、オープンソース化は救世主となるか?(4/5 ページ)
自治体システムのオープンソース化は、現場にどのような影響を与えるのか。CIO補佐官がメリットと課題を解説する。
1700しかない市場で、OSSは事業になるのか
次に「自治体システムはオープンソースで成り立つのか」という点についても考えてみましょう。
オープンソースについては、人により認識の差があります。
1. ソフトウェアのソースコードを開示すること
2. 利用規約を定め、ソースコードを管理する体制を構築、維持すること(OSS化する)
3.ソースコードを用いたソフトウェア製品が安定的に保守、運用されること(OSSとしてエコシステムが機能する)
まず、ソフトウェアの著作者が認めるのであれば、1はクリアできるでしょう。しかし、上述したOSSの管理体制の課題を解決しない限り2は成立しませんし、オープンソースとなった自治体システムがきちんとマネタイズできないと3も成立しないはずです。
そもそも自治体の数は1700以上あるのですが、逆に言えば1700余りしかありません。それ以上は売れないのです。
民間企業や個人向けのソフトウェアの市場に比べると、自治体市場は小さいです。また、公金で運用されるシステムなので、常にコスト圧縮要求があります。一方で制度や法律の改正には必ず対応しなければなりませんし、過去のシステム改修履歴との整合性を考える必要もあり、それらは年々複雑になっています。
取り扱う情報も、住民の機微な情報が含まれることもあり、セキュリティ対策に要するコストも上昇しています。
事業者にとっては、以前と比べてビジネスとしての魅力が薄れているにもかかわらず、自治体側はその現実に対して無頓着です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「自治体システム標準化」は、なぜここまで迷走するのか? 現場で見えた2つの“ボタンの掛け違い”
今回は「自治体システム標準化」と「ガバメントクラウド移行」をテーマに考察したい。自治体のCIO補佐官として現場から見えてきた現状と、どこでボタンを掛け違えてしまったのか、これまでの経緯を振り返る。
仕様書だけが降ってきた――「自治体システム標準化」で現場の混乱を招いた“完成図なき改革”
「自治体システム標準化」と「ガバメントクラウド移行」を巡り、自治体の現場では人手不足、想定外のコスト増、移行遅延、責任の所在の不明確さ――といった深刻な混乱が広がっている。CIO補佐官として、現場で取り組みに関わってきた筆者が「マネジメントの視点」から事業について考える。
自治体を苦しめてきた「オープンデータ公開」 負担軽減へ生成AIが秘める可能性とは?
今回は「自治体のオープンデータへの取り組みと生成AIの関係」について考える。長年、自治体職員の負担となってきたオープンデータの運用。生成AIの登場が現状を打開するきっかけとなる可能性があるという。
「AIワークフロー」は自治体に広がる“格差”を埋められるか? 実際に作成してみた
今回は、自治体の生成AI利活用の「3つのステージ」を踏まえながら、次のステップとして注目される「AIワークフロー」の可能性と、そこから見えるAIエージェント活用への道筋について考えてみたい。
「返礼品」だけで語っていないか ふるさと納税が自治体に突き付ける覚悟
「返礼品」が注目を集めることも多いふるさと納税。しかし、この制度は納税者が「どの自治体を、どの政策のもとで支えるのか」を意思表示する仕組みでもある。ふるさと納税の本質と「選ばれる自治体」の今後の可能性を考える。