調査、分析、戦略立案……何でもAIがやってくれる今こそ、「現場」に足を運ぶべき理由(4/4 ページ)
ChatGPTやGeminiに質問すれば、たいていのことは答えてくれる。かつては何日もかけていた作業が、数分で終わる時代になった。AIに聞けば何でも分かる時代に、わざわざ現場に行く必要はもうないのだろうか。
AI時代の守破離を、今日から始める2つのアクション
AI時代の守破離のサイクルを実際に回すために必要な具体的なアクションを、2つ提案したい。「守から破へ」と「破から離へ」だ。
アクション1:守から破へ──AIの形式知を起点に、現場で試す仮説を作る
何か知りたいことがあったら、まずAIで調べる。業界の基礎知識、過去の事例、市場データなど。AIは瞬時に形式知を集めてくれる。そして、その答えを「結論」ではなく「仮説」として扱ってみる。「これを確かめるなら、誰に聞けばいいか」「どこに行けば実際に見られるか」を一つだけ考えてみる。AIと議論してみても良い。AIの出力を「答え」ではなく「旅の出発点」として位置付ける習慣だ。次に何をすべきかが見えてくる。
アクション2:破から離へ──現場の暗黙知をAIで形式知化する
現場で得た感覚には、暗黙知の種が眠っている。整理されていなくてもいいので、AIに話してみよう。AIは、抽象的でふわっとした内容であっても、上手に整理してくれる。AIの言葉によって初めて、自分の感覚が何だったのかが分かる。この過程こそが、暗黙知の形式知化だ。
テキスト入力でもいいが、音声入力を勧めたい。直感的な感覚やモヤモヤした違和感を、整理する前にそのまま言葉にできる。本来なら長い時間を要する「離」への道を、AIが加速してくれる。
AIで学び、現場でつかみ、AIで磨く
AIが「守」を担ってくれる時代だからこそ、人間は「破」と「離」に集中できる。守から破へ、破から離へ。このサイクルを回すことで、AIを活用しながらも、AIだけでは到達できない場所に行けるのだ。
AIの答えで満足するか。それとも、現場で一次情報をつかみに行くか。独自の知見は、現場に行く者だけが手にする。
著者プロフィール・村上悠太(むらかみゆうた)
株式会社ディープコア KERNEL事業部 部長 Director, Community & Venture Growth
ソフトバンクで採用・人事企画を経て、2018年よりDEEPCOREに参画。同社の人事全般を統括しつつ、投資先AIスタートアップの採用・組織開発等のHR支援を推進。2023年にスタートアップキャリアコミュニティ「LINKS by KERNEL」を設立し、約500名の会員にキャリア支援を提供。起業家やスタートアップ参画希望者に対し、コーチング等の支援を行う。スタートアップを主な対象に、組織開発・チームビルディングの講演・研修・ワークショップなどを実施。現在はAI特化型インキュベーション拠点「KERNEL」の事業部長として、起業支援および投資先スタートアップ支援を推進。
BCS認定ビジネスコーチ、米国Gallup社認定ストレングスコーチ。
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