労働時間規制の緩和に「賛成」57%――それでも「長く働きたくない」本音:エンが調査
エンが実施した調査によると、「労働時間規制の緩和の検討指示」について、一定数の支持があると明らかになった。働く人々は労働に対してどのような本音を抱いているのだろうか。
2025年10月、高市早苗首相が上野賢一郎厚生労働大臣に対し、「労働時間規制の緩和の検討」を指示したと報じられている。これは、労働者本人の健康と意思を前提に、柔軟な働き方を可能にするため現行ルールの見直しを検討する動きだ。
転職サイトなどを運営するエン(東京都新宿区)が実施した調査によると、この「労働時間規制緩和の検討指示」について、「内容も含めて知っている」が19%、「概要だけ知っている」が53%で、計72%が認知していた。働き方に対する人々の関心の高さがうかがえる。
では、もし自分の労働時間を「増やせる」となった時、働く人々はそれをどう受け止めるのだろうか。
賛成意見が多数――その理由は?
「労働時間規制の緩和」に対する印象は、57%が「とても良いと思う」「良いと思う」と肯定的に評価していた。その理由として「労働時間の希望を実現しやすくなるから」(57%)、「収入の増加が目指せるから」(53%)といった意見が上位となった。
より具体的な意見としては「本人が働きたいにもかかわらず、会社の都合で制約されると、労働意欲の減退につながると考えたため」(20代男性)、「物価高で給与も上がらない昨今、労働時間を増やすか残業でしか給与を増やせないから」(30代女性)といったコメントが寄せられた。
世代で異なる反対理由 「残業は美徳」説への懸念も
フルタイム勤務の正社員のうち、現在よりも労働時間を「増やしたい」人は13%で、47%が「現状維持をしたい」、38%が「減らしたい」と回答した。
「労働時間規制の緩和」に対して肯定的な意見が過半数を占める一方で、実際に労働時間を増やしたい人は1割程度にとどまることが明らかになった。
「労働時間規制の緩和」について「良いと思わない」とした人は27%だった。その理由として最も多かったのは「健康・身体への影響への懸念」(38%)で、「意図しない労働時間増加への懸念」(34%)が続いた。
年代別で見ると「20代」と「40代以上」で最も多かったのは「健康・身体への影響への懸念」(20代:60%、40代以上:37%)だった。一方、30代は「プライベートへの影響への懸念」(44%)がトップだった。
回答者からは「残業することが美徳となり、定時で帰る社員の居場所がなくなってしまうのではないか。また、残業を断りにくくなり、健康被害につながる可能性を懸念している」(20代男性)といったコメントが寄せられた。
調査は2025年12月1日〜2026年1月5日にインターネットで実施。転職サイト「エン転職」を利用するユーザーから回答を得た。有効回答数は1756人。
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