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「まいばすけっと」が都心に増え続けるワケ イオンが仕掛けた“ちょっと変なスーパー”の正体:小売・流通アナリストの視点(4/5 ページ)
まいばすけっとが京浜間で急増している。そほ背後には、イオンの巧みな“小規模スーパー展開”の戦略があった……。
規模拡大のための肝となる経営指標は?
このことは、まいばすがイオンのプライベートブランド(PB)であるトップバリュの売上比率を、現在の25%から50%に上げる実験を、横浜市都筑区の仲町台店で実施していることからも分かる。これは粗利率の高いトップバリュの構成比を上げることで、まいばすの粗利率を上げ、店舗ごとの損益分岐点を下げようとしていることを意味する。
図表4はまいばすの決算公告から試算した、まいばすの店舗当たり損益分岐点である。この試算から、まいばすの平均店舗売上は2.43億円、店舗ごとの損益分岐点は2.17億円であることが分かる。ただ、この水準は日本一の人口密集地での実績であり、郊外ではこの売り上げは見込めない。
そのため、より粗利率を上げ、損益分岐点を下げていくことで、郊外での耐性を強めていこうとしているのである。図表右側の粗利幅を大きくできれば、損益分岐点を1.8億円〜1.6億円ほどに下げられることが分かるだろう。
こうして、図表5のように国道16号線内側を、まいばす5000店舗で埋め尽くせば、売上高1兆円のスーパーを自前で構築することができる。
そうなれば、イオンの首都圏トップシェアはもはや揺るがないものとなるだろう。
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