顧客を絞り込んだツタヤ、大量閉店を回避するゲオ どこで違いが生まれたのか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)
かつてCDやDVDのレンタル事業で好調だったツタヤとゲオ。しかし、ここにきて勝ち負けの差がはっきりと出ている。なぜ、このような差がついたのか?
ツタヤが目指すべき方向性は?
さまざまな工夫をしながら事業を維持しているツタヤだが、なぜ勢いに乗ることができないのか。
その理由の一つが、店舗の構成方法にあると筆者は考えている。CCCの系列店には「スターバックスコーヒー」が入っていることが多く、一体化した店も多い(店舗によっては購入前の本を読むことができる)。コーヒーを飲みながら隙間時間に本を読むというアイデアは良いが、他店との差別化は図りづらい。これが、閉店ドミノが止まらない理由の一つだろう。
また、コロナ禍で広がった、リモートワークや個人事業の拠点に使われる「シェアラウンジ」も、新規事業として全国約60カ所で展開している。しかし、オフィス回帰が進んでいることや、複数拠点を使う場合は月額約4万円(個人利用の場合)がかかることから、今後規模が拡大していくとは考えにくい。
ツタヤが目指すべき形の一つは、渋谷スクランブル交差点に面した「QFRONT」ビルの店舗を改装し、2024年4月にオープンした「SHIBUYA TSUTAYA」ではないだろうか。
地下2階・地上8階のおしゃれなビルで、日本全国で閉店が相次いでいる企業の建物という印象は全く感じられない。
SHIBUYA TSUTAYAには、世界中のアニメやハイブランドのポップアップストア、座席数を十分に備えたカフェ、イベントスペースなどがある。コンテンツの発信地と休憩所が融合したような場所となっており、画廊や展示会場に近い業態だ。
CCCは、新しいカルチャーやインフラを作っていくことを理念に掲げている。確かに、足元を見ると、TポイントはVポイントに統合され、コンセプトを絞った書店事業に軸足を移すなど、事業は縮小している。しかし、書店や図書館などの事業やSHIBUYA TSUTAYAの展開など、新たなカルチャー創出にかじを切っているのも事実だ。このまま縮小を重ね、市場から完全撤退とならないよう、今後のさらなる改革に期待したい。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
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