「出社したくなる」オフィスの作り方 企業が見直すべき3要素とは?:【新連載】組織を伸ばすオフィス戦略(2/3 ページ)
近年、オフィスは単なる箱としての「作業の場」から、「体験の場」へと大きく進化しています。社員を再びオフィスに呼び戻すことは、多くの企業にとって新たなテーマとなっているのです。では、どうすれば「出社したくなるオフィス」はつくれるのでしょうか。
実例で見る「進化するオフィス」
では、前述の3要素を組み合わせ、出社したくなるオフィスを実現した事例を3つ紹介します。
(1)ソーシャルインテリア:多用途・感性設計の実験的オフィス「THE MUSEUM」
当社のオフィスには、
- 従業員の増加により座席や会議室が不足する
- 従業員同士のコミュニケーションが減少し、企業文化が薄れかけていた
という課題がありました。
そこで、自社オフィスとして構築した「THE MUSEUM」には、従業員一人一人がお気に入りの場所を見つけられるよう、多様な機能を持たせました。重視したのは、働く人が「今日の自分に合った空間」を選べる、感覚に訴えるワークプレイスであること。上質なインテリアで構成された落ち着きのあるエリアや集中に特化した遮音スペース、リラックスや交流を促すカフェエリアなど、シーンに応じた環境を自由に選択できます。
さらに、照明、音、香りといった五感に訴える要素を調整することで、創造性や集中力を高められるのも特長です。コミュニケーションの発生につながるプロダクトの導入やエリアの設計により、移転前よりも従業員同士の会話が多く発生するようになりました。
THE MUSEUMは業務の拠点でありながら、ショールームやイベントスペースとしても活用できます。
また、オフィスの“今”と“これから”を検証するための実験場でもあります。テクノロジーを組み込んだ会議室や、その外側に座れるスペースを設けるなど、スマート会議やプレゲーミングの実験的な試みにも取り組んでいます。
(2)ゴウリカマーケティング:集中と自己啓発を促す知的空間
企業のマーケティング業務支援を手掛けるゴウリカマーケティング(東京都渋谷区)のオフィスでは、
- 社内情報共有の円滑化
- より仕事に集中できる場の実現
が求められていました。
そこで、各フロアに分散していた機能を、ワンフロアに統合。図書館のように静かで集中できる執務エリアへとリニューアルしました。ブースミーティングスペースや、カジュアルに会話できるスペースを設置したことで執務室全体が静かになり、以前のオフィスよりも集中しやすい環境に。また、不必要な音を抑える空間設計や落ち着いた素材を選定したことで、社員が仕事に没頭できるようになっています。
印象的なのが随所に設けられた本棚です。ここには、読書家である代表が推薦するビジネス書や、各領域のスペシャリストが「役立つ」と感じた書籍が置かれています。社員が自分の専門領域を超えて本に触れ、知識を増やすことは自己啓発の機会にもなります。日常的に知識に触れられる環境も、社員の成長と働きやすさにつながっているのです。
(3)エルフィン:空間を“コンテンツ化”したエンタメ企業の拠点
キャラクタービジネスなどを手掛けるエルフィン(東京都千代田区)の旧オフィスでは、建物の老朽化による暑さや乾燥が、業務効率に深刻な影響を与えていました。加えて「自社を表現するためにエンターテイメント性を追求したオフィスにしたい」という思いもあり、リニューアルに踏み切りました。
まず、新しい建物に移転したことでオフィスの快適性が向上しました。来訪者も増加し、手掛ける作品の世界観を表現したコンセプトルームが好評とのことです。社員にとっても「ワクワクする空間」となり、ブランド価値の向上につながっています。
素材や照明の工夫により作品世界に没入できる感覚的体験を演出しつつ、働く環境としての快適性も高まりました。同社ではオフィスが単なる執務空間ではなく、自社の世界観や事業の幅を体感できる“コンテンツ”そのものとなっています。
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