「正直、メリットは薄いと思っていた」──富士通が“新卒一括採用”を捨てて見えた現場のリアル(3/3 ページ)
富士通が断行した「新卒一括採用の廃止」。現場マネジャーは当初、「負担でしかなかった」と振り返る。長期有償インターンを軸にした改革は、何をもたらしたのか。CHROが語る「選ばれる関係」への覚悟とともに、そのリアルに迫る。
「ミスマッチ」は悪ではない
こうした現場の試行錯誤の背景で、経営層は何を見据えていたのか。平松浩樹CHROは、新卒一括採用の廃止を「ジョブ型人材マネジメントへの移行における最後のピース」と位置付ける。
平松氏が重視するのは、会社主導でキャリアを決める従来型からの脱却、すなわち「キャリアオーナーシップ」の確立だ。
「社員一人一人が自律的にキャリアを考え、学び、挑戦する。そのマインドチェンジこそが最大の壁だ」(平松CHRO)
平松氏は、長期インターンを通じて学生が「合わない」と判断し辞退することも、失敗ではないと語る。
「パーパスに向き合った結果、『富士通ではない』と気付いて離れていくのは悪いことではない。手遅れになる前に気付けるのは、むしろハッピーなことだ」(平松CHRO)
企業と個人は、対等に選び、選ばれる関係であるべきだという。「納得して働くことがパフォーマンスや成長につながる。理想論に聞こえるかもしれないが、本気で取り組むことが会社を変える」と強調する。
富士通の取り組みは、決して特殊な事例ではなくなってきている。学生の価値観の変化や専門人材獲得競争を背景に、大手企業でも通年採用や新卒一括採用廃止の動きが広がっている。
リクルートは2019年に新卒一括採用を廃止し、30歳以下であれば就業経験を問わず通年応募を可能とした。ソフトバンクは「ユニバーサル採用」を導入し、新卒・既卒の枠を撤廃。ファーストリテイリングも通年採用を行い、大学1、2年生段階で選考を行う独自制度を設けている。
個のスキルとジョブのマッチングを重視する採用へと舵を切りつつある大手企業。一律的な「就活」の景色は、過去のものになるかもしれない。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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